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第14話
一度かばんを置くために教室へと戻った俺たちが再び向かった先は校舎裏の花壇であった。
裏門へと繋がるこの場所に生徒は滅多に立ち寄らない。
ふと先頭を歩いていた宮本が振り返り立ち止まる。
「俺さ見たんだよね、佐々木の体にたくさんの打撲痕があったの。しかも倒れていた場所は空き教室の中だったし、誰かに殴られたんだろ?」
「それは…その…」
やはりそのことについて聞くよな、と予想はしていたが、いざ聞かれるとどう答えていいのかわからず口ごもる。
「それに昨日の事も変に気にかかって用務員の人に尋ねたんだ。そしたら、そんなことはなかったって言われてさ。佐々木は俺に嘘をついたんだって悟ったよ」
「ごめん…」
俺は何て言ったらいいのかわからず、謝りの言葉だけが口から出る。
「佐々木は悪くはないだろ。なぁ、教えてくれよ。佐々木を殴った奴は誰なんだ?」
「それは言えない」
ここで本当のことをいえば、宮本はいい奴だからきっと力になってくれるだろう。だがしかしだ、万が一にもいじめが親の耳に入るのだとしたら、やはり言わないのが吉になるのだろう。
「俺じゃ力になれないってことか?」
「そうじゃない。ただ周りには迷惑をかけたくない」
「俺は迷惑だって思わない」
「宮本がそう思わなくても、迷惑だって思う人もいる。だから、いじめのことは内緒にしておいて欲しい」
「…」
宮本はこちらを見据え、口を閉ざしたまま黙りこくっている。
そして数秒が経ち、宮本は大きく溜息を吐いた。
それから眉を曲げ困り顔になりながら口を開き、
「…わかった。佐々木がそう言うなら無理に詮索はしないよ。ただ、本当に助けが必要なときはいつでも俺に頼ってくれよ。助けになるから」
「ああ、わかった」
本当に宮本はいい奴だなと心の底からそう思った。同じαとして宮本の気遣いは尊敬する。
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