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第15話

 キーンコーンカーンコーン…。  学校のチャイムが鳴った。 「すまん、時間ないのに校舎裏に連れ込んだりして」 「いや、こっちが呼び止めたんだ。それに宮本が助けになるって言ってくれて嬉しかったし…、ありがとうな宮本。宮本は本当にいい奴でカッコいいよ」  思ったことをそのまま宮本に伝える。周りからは言われ慣れているセリフだと思うが、やはりそう言われるまでの器が宮本にはあるのだ。 「///⁉」  目の前の宮本が耳まで真っ赤にして顔を赤面させた。  …言われ慣れていると勝手ながらに思ってしまったが、意外と言われていなかったのだろうか?  俺は彼の顔を伺おうと身を寄せた。 「宮本大丈夫か?」 「あ、いや、だ、だいじょび、じゃない、だいじょばない!」  言葉がつっかえつっかえになって頓珍漢なことを口走った宮本は今度は体を背かせ、ぶつぶつと何かを呟いていていたが、すぐにこちらへと向き直り、 「佐々木は体の調子はどうなの?教室までいくのはつらいか?」  いつも通りの彼に戻ってそう尋ねてきた。 「さっきまでベッドで休んでいたから大丈夫だ」  本当は今でも体が痛むが、そこまで宮本に心配をかけさせたくない。  俺はそれを証明するかのように何気なしに手足を動かして見せたが、 「あいたっ…!」  思わず苦痛の声を上げてしまった。 「まだ良くないみたいだな。よしっ!」  宮本は俺の背中と足に腕を持ってきたかと思うとそのままヒョイと持ち上げた。  俗にいうお姫様抱っこというやつである。  俺は何が何だか状況が掴めず顔を真っ赤にさせ、口を震えさせた。 「お、おい、何しているんだ宮本⁉」 「何ってお姫様抱っこだけど」  それはこの状況を見ればわかるわ!と心の中で盛大にツッコんだ。 「俺が聞きたいのはそうじゃなくて、何で俺がお姫様抱っこされなきゃいけないんだってことだ」 「だって佐々木は体を動かすと痛そうにするじゃん。それに今はチャイムが鳴って急がないといけないし、この方が合理的なんだ」 「どっから合理的なんて言葉が出るんだよ。お前は恥ずかしくないのか…」 「ううん全然。じゃあ、今からかっ飛ばすからしっかり俺の体を掴んでいてね」  そう言うと宮本は足早に地面を駆けていく。  宮本にお姫様抱っこされていることは癪だが、この方が自分で歩くより早いのは確かだ。  俺はしょうがないと抗議するのを諦め、宮本に体を預けた。  そういえば何で宮本は空き教室にいる俺のことを見つけることが出来たのだろう。  あそこの教室は校舎の端にあって、生徒はおろか教師すらも立ち寄らない場所であるはずなのに。  しかし今、その疑問を投げかけるのは先ほどから色々とありすぎて聞くのが億劫になった。  宮本にそのことについて聞くのはまた今度にしよう。  俺は心の中でそう決めた。

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