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第27話

 鈴村まで三歩、ニ歩、一歩…。  ここだ、と鈴村との位置を詰めて、金槌が届く距離になると腕を振り上げた。  渾身の力を込めて鈴村の頭にめがけて金槌を振り下ろす。 「っ⁉」  ゴン!、と鈍い音が鳴った。それと同時に鈴村がドサリと倒れる。  恐る恐る床に倒れた鈴村を見ると頭から血を流しながらピクリとも動かず背を天井に向けて倒れていた。  一瞬、死んでしまったのではないかと思って、手首を触って脈を測ったが、うまく気絶しただけのようでホッと安心する。  それから俺は一旦、身を潜めていた机の間に戻り、鞄から縄を取り出して再び鈴村のところに行き、重い体の鈴村をなんとか壁際に寄せると縄で体を縛ろうとする。 そして、何とか縛り終わった俺は最後に縄のゆるみがないか確認した。  体と腕に巻き付いた縄、手首を縛った縄、最後に足首を拘束した縄。  各縄を引っ張ってゆるみがないことがわかると、俺は手を止める。  この後俺は鈴村をレイプする。レイプなんて真面目に生きて来た俺にとって無縁なことと思っていたし、普通の性行為すら経験がない。  つまりは初めてを鈴村に捧げることになるのだ。  とてつもなく不本意なことになってしまったのだが、腹をくくってやるしかない。  そもそも俺は初めての相手は好きな人と、とかそういったこだわりをあまり持っていないのだ。いまさら初めてが鈴村相手だなんて嫌だとやめるわけにはいかない。  俺は止めていた手を再び動かし、鈴村のベルトに手をかけた。  そしてベルトを外し終えたら今度は鈴村のズボンを膝辺りまで下ろし、鈴村の大きく重い体に苦戦しながらも体の向きを反対にして、こちら側に鈴村の臀部が見えやすいようにした。 「次はどうすれば…」  鈴村の体格に見合う引き締まった臀部を見ながら、この次はどうすればいいのだろうかと戸惑う。  鈴村の穴を確認したところ、こんな小さな穴で俺の肉棒が入るのか不安で仕方ない。  だがしかし、世のΩはこの穴を使って性行為をし、αと番を成立させているのだ。  多分きっと鈴村でも出来る…はず…。  俺は片手で鈴村の臀部を掴んで広げ、恐る恐る彼の穴に己の指を入れようとしたが…  ゴンッ!  一瞬何が起こったのかわからなかった。しかし、数秒が経って自分の頭に激痛が走り、体が横に倒れたとき、自分が誰かに頭を殴られたんだと理解する。  一体だれが…?  薄れゆく視界の中、朦朧とした目には誰かの足がうつった。

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