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    第1話(3)

 知らないうちに口腔内に侵入してきたヴィンセントの舌に、自分のそれを絡めとられ、強く吸い上げられる。気がつけば、莉音は自分からヴィンセントの首筋に両腕をまわして、口づけを求めていた。  巧みな舌使いに翻弄されるうち、下肢がとろけ、力が抜けていく。 「う……ふ…、んっ、ん……っ」  甘い吐息がひっきりなしに漏れ、互いに舌を絡め合う濡れた音が室内に響いた。  ヴィンセントの自分を抱きしめる腕に力がこもり、上体を掬い取られるようにベッドへ押し倒される。その指先が、器用にパジャマのボタンをはずして中へと滑りこみ、直接素肌に触れてきた。 「は…あっ……、っ、ん……」  胸もとを撫で上げられながら首筋に舌を這わされ、抑えきれない声が漏れた。ヴィンセントの舌に胸の突起をベロリと舐められ、吸い付かれると、莉音はビクンッと背を(しな)らせて甘い嬌声を放った。  ヴィンセントから与えられる刺激が気持ちよくてたまらない。  どうしてこういうことになったのか自分でもよくわからなかったが、少しも嫌ではなかった。むしろもっとしてほしくて、自分から縋りついていった。  その思いに応えるように、下肢に伸びた手が、パジャマ越しに変化を見せはじめた中心をさらりと撫で上げる。 「あっ、や……っ、アルフ、さ……」  ビクッと身を竦ませる莉音をなだめるように、長い指がそっと髪をかき上げ、額に口づけを落とした。その口づけが、すぐに唇にも降りてきて、緊張に硬張(こわば)る躰を少しずつほぐしていく。  チュッ、チュッと幾度も音をたてて唇を吸われ、わずかに開いた隙間から舌を差し入れられて歯列をなぞられる。口蓋を舌先でくすぐられ、思うさま口腔内を蹂躙された。  肉厚の舌を自分のそれに絡められるのが気持ちいい。その間にも下肢への布越しの愛撫はつづき、濃厚な口づけに莉音の理性がとろけた頃合いを見計らって、下着の中へと手を差し入れられた。  ふたたびビクッとなる莉音の頬を、ヴィンセントがそっと撫でる。真上から見下ろしてくる端整な顔に、やわらかな笑みがひろがった。 「大丈夫だ、莉音。なにも考えず、すべてを私に委ねていればいい」  言われて、呼吸を乱しながらも莉音は必死に頷いた。こういった経験ははじめてのことで、それどころか、キスをするのさえこれがはじめてだった。それでも、ヴィンセントに愛されたいと心が強く願っている。こうなってみてはじめて、自分はヴィンセントのことが好きなのだと理解した。  パジャマのズボンを下着ごと脱がされ、羞恥に頬が熱くなる。それでも、莉音はヴィンセントにその身を預けた。 「莉音、リラックスして」  ヴィンセントに言われても、躰の硬張りを解くことがどうしてもできない。ヴィンセントは、莉音の陰茎を掌で包みこむとゆっくりと刺激を与えはじめた。  親指の腹で輪を描くように先端を擦られ、竿の部分を強弱をつけて(しご)き上げられると、鈴口からはたちまち蜜が溢れ出す。背筋に甘い痺れが絶え間なく走って、自分でもどうすればいいのかわからず莉音は身悶えた。 「あっ……あっ……、んっ、んん…っ」  ヴィンセントの服を握りしめて、莉音は唇を噛みしめる。他人に触れられたことのない場所を、巧みな愛撫で翻弄されてたちまち追い上げられていった。 「やっ、ダメッ、アルフさ……っ、出ちゃ、ぅっ! だめ。手、はなしっ…て……っ」 「大丈夫。いいから、このまま出してごらん」  ヴィンセントの肩口に縋りついて、莉音はイヤイヤと首を横に振った。 「やぁっ、だめっ! イ…く……っ。イッちゃうからっ。出ちゃ……、出ちゃ…うっ――ダメッ、あぁあー……っ!」  背を撓らせ、足を突っ張らせた莉音は、次の瞬間、ビクッと大きく躰を痙攣されるとヴィンセントの掌に精を放っていた。

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