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(6)
ベッドに突っ伏したまま、莉音はハッハッと荒い呼吸を繰り返す。
全身が気怠 くて、けれどもこれまで味わったことがないほど心が満ち足りていて。
結合を解いたヴィンセントに躰を返されると、莉音はそのまま逞しい腕の中に抱き寄せられて、その力強い胸の鼓動にうっとりと目を閉じた。
額に口づけられ、唇にもチュッとキスを落とされる。
身体の奥には、たったいまヴィンセントに注がれたものがまだ熱を放っていて、それがいっそう莉音を幸せな気持ちにしてくれた。
「莉音、愛してる。私の可愛い莉音」
何度も囁かれて口づけされ、莉音は甘えるようにヴィンセントに躰を擦り寄せた。
「僕も好き。大好き。もう二度と、離れたくない」
「そうだな。私もずっと、莉音にそばにいてほしい。もう決して、この手からおまえを放さない」
髪を撫でられ、またキスをされる。
背中にまわされた手に腰の辺りを撫でられ、だいぶ痩せた、と指摘された。
「あの、ずっと、あんまり食欲なくて。ひとりで食べても、全然美味しくないし……」
「気持ちはわかる。だが、あまり華奢だと壊しそうで抱くのが怖い」
「そんなこと……」
ヴィンセントの腕に抱かれたまま、目の前にある端整な顔にそっと触れた。
「アルフさんだって、ずっとちゃんと食べてなくて、よく眠れてないみたいだって、早瀬さんが……。それに、あんなにいっぱい、お酒……」
顔を曇らせる莉音を見て、ヴィンセントは苦笑した。
「そうだな。これからはきちんと摂生しよう。あまり自堕落な生活を送って、中年太りにでもなっては莉音に嫌われる」
「そんなこと、ないです」
「莉音の料理はとても美味しくて、いくら食べても食べ飽きるということがない。それからもちろん、莉音自身も」
思わせぶりに言ったヴィンセントは、莉音の顔を視つめたまま、自分の顔に触れていた指先を口に含んだ。同時に、腰の辺りを撫でていたもう一方の手も、尻のあわいに這い進んで秘められた場所にツプリと指を忍ばせる。ヴィンセントの胸に縋ったまま、莉音は眉根を寄せ、「んっ」と声を押し殺した。
「私はこのひと月、莉音にとても飢えていた。だから莉音もしっかり食べて、体力をつけてほしい。私が毎晩たっぷり、心ゆくまで莉音を味わえるように」
後孔に差し入れられた指で中を掻き混ぜられて、莉音は息を乱し、身をふるわせた。
「まい、ばん……?」
「そう、毎晩。莉音の負担になるといけないと思って、以前は我慢をしていた」
「我慢、しないで……」
「本当に? 莉音は嫌じゃない?」
「ヤじゃ、ない。嬉しっ……あぁ…っ」
長い指に奥の感じる場所を刺激されて、莉音は背を撓らせて甘く啼いた。
「がっついていると呆れられてしまうかもしれないが、私はもうずっと、莉音不足でいまにも飢え死にしそうだった。そんな哀れな私に、どうか慈悲を恵んでほしい」
身を起こしたヴィンセントに、莉音は大きく足を割り開かれる。そして、胸に膝がつくほど躰を折りたたまれた。
ヴィンセントの指にいじられ、物欲しげにひくつく秘所がヴィンセントの目に曝される。激しい羞恥にいたたまれず、莉音は目を伏せ、けれどもその足のあいだで、猛々しく隆起してすでに臨戦態勢に入っている凶器の存在に気づく。
こくり、と息を呑んだ莉音は、やがてその口許に笑みを刷くと、ヴィンセントに向かって両手を差し伸べた。
「来て、アルフさん。いっぱい、いっぱい僕を味わって」
その言葉を待ちかまえていたように、ヴィンセントの雄が口を開ける蕾に突き立てられた。
「あぁっ……ん……っ!」
一気に根もとまで貫かれて、莉音は背を撓らせ、声をあげる。
莉音の差し伸べた腕の中におさまるように、ヴィンセントが上体を倒した。その首筋に莉音が両腕を絡ませると、ヴィンセントはあらためて腰を抱えなおして力強く抽挿を開始した。
「やっ、っん……、激、し……っ、深っ、い……」
体内に放たれたものが熱い楔で掻きまわされて、ぐちゅりぐちゅりと卑猥な音をたてる。
ガツガツと貪られて、莉音は息を喘がせ、甘い啼き声を放った。
与えられる快感に溺れ、強く求められる幸せに身も心も満たされていく。
逞しい背中に腕をまわして縋りつき、莉音はあえかな声で、愛するただひとりの相手の名を呼びつづけた―――
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