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日常。2
着替えて、歯を磨き、、、よし!そして、最後に
「ハル、ネクタイ」
そう、仕上げのネクタイは、朝の準備中俺のことを眺めてた陽輝がしめる。俺だって、1人でネクタイぐらい結べる!多分。。多分というのは、やったことがないから、分からないのだ。ネクタイははじめから、陽輝がすると言ってきかないのだ。
俺たちは、離れから出て、紫雨と書かれた門札がついた塀から外へ出る。
「行ってきます。」
ボソッっと俺は呟く。今自分たちが出て来た家を見ると
外見は古風で中央に屋敷がそびえ立っている。俺は、許可がないと立ち入れられない。
これには、事情がある。
紫雨家とは、茶道の1つの家元。俺 芦ケ谷澪は、その当主である父の息子である。しかし、1人の愛人の息子だ。正妻からは、もちろん厄介者である。先程俺が寝ていた離れは、使用人たちの部屋の一室である。
父は、俺の母をすごく可愛いがっていたらしいが、俺を産んだとたん亡くなってしまった。俺を家から追い出すのも考えたらしいが、後で利用出来るのでは と思い部屋を与えてくれた。正妻が紫雨の名を俺が語るのは、腹立たしく思うらしく、俺は母の性を名乗っている。
茶道のプリンス父の愛人の溺愛っぷりは、有名らしかった為、俺の存在が茶道界には知られていて、正妻が周りにわかるような身体的な嫌がらせはないのが救いだ。
しかし、小さい頃から、陽輝がいてくれたから、寂しいと感じたことは無い。
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