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文化祭2

陽輝は、また切れ目をすぼめて口を上げて微笑み、 澪の顎を右手で持ち上げた。 「れーい、怖くないんなら、俺とお化け屋敷行こうよ。自クラスのね。いいでしょ」 そのセリフに澪は、冗談じゃないっと思う。「だっれが彼女持ちのお前なんかー」 澪は陽輝に顎をさらに上へ上げられた。陽輝の顔も近づいてきて、後頭1個分でくっついてしまいそうだ。 「怖くないんだよね。」と陽輝。 そう言われると、引き下がるにも引き下がれないじゃないかっ!心の中で怒鳴る。 「わかった。」女のように線が細いとプールで言われてから、この手の挑発には断れないと澪は唇を引きしめて、反発することを諦めた。 陽輝は、綺麗な手を澪の少し癖があるサラサラな髪を梳いて上機嫌な声で言った。「いい子。 じゃあ、俺は生徒会に用があるから、気をつけて帰るんだよ。」 頭を撫でられると弱い。俺に、そんなことをしてくる奴は、陽輝だけだ。拗ねた気持ちより嬉しい気持ちがどうしても勝つ。チョロい奴。うん、自分でも自覚はある。 「わかった。ハル、また明日な!!」手を降って、俺は帰路につく。今日は、アイス買って帰ろー!

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