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文化祭4

俺が、どれだけ神様にお化け屋敷になりませんよーにと願っても、お化け屋敷をやることになってしまった。 と、ダウンしていたのだが、制作はそれなりに楽しかった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 文化祭当日。 「わぁぁぁーーーーぁぁーー!」と俺は叫びながら、自クラスのお化け屋敷の入り口を飛び出して逃げた。 「あ、澪!まだ、入ってもない!」 陽輝の声が後ろからするけど、聞いてなんて居られない。 震える足を懸命に動かす。文化祭にも関わらず立ち入り禁止の屋上まで一目散だ。 ガチャー。誰かが鍵を壊してしまって取っ手だけの屋上のドアを開けて、静かなタンクの裏に隠れる。俺は、体育座りで膝を抱えて、自分を自分で抱きしめてやっと落ち着いた。 ーーやっぱり暗い所は、怖い。いつも出入りしたクラスで仕掛けも種も分かっている俺たちのお化け屋敷でさえ入れない。入り口の闇を見ただけで、足がすくんで入るなんて出来なかったのだ。真っ暗闇が俺の苦手ナンバー1だ。あの時からーー。 そう。苦手になったのは、屋敷の人間の陰口が心に刺さり悲しさが溜まりに溜まって逃げて公園で涙していた所を陽輝に見られた夜からだ。あの夜にお仕置と言ってお義母様は、俺を納屋に3日間放置した。暗くて暗くて、冷たかった感覚を忘れられない。あの時から、暗闇になると心が弱くなる。寝る時も、ロウソクに火をつけて明かりがきれないようにして寝ている。

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