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蜘蛛が糸をひき始める

「れーいーー!陽輝ーーー!帰ろーよー」 祐介が終礼と共に、近づいてくる。 「俺、進路で担任と相談しなきゃだからー」 スクールバッグを掴んで俺 芦ケ谷澪 は、教室の出口に向かおうとする。 「相談って、澪はどこ大目指すん?」にこやかに陽輝は澪に訪ねた。 「あーー。俺、大学進学しないんだよねー。それで、呼び出されてんだ」澪は言いづらそうに言う。 「は?俺聞いてないけどーー!(密偵からの情報にもないのにーー!)」仕事で見せる冷酷な表情で澪の腕を掴む。 俺は、思わずウッと身を竦める。いつもは、にこやかにしている分、時々の表情が抜け落ちたような顔をされると怖さが増す。こういう時の陽輝は、俺が白状するまでにこやかな表情にもどってくれない。 心配かけるから、なるべく言いたくなかったんだけど、 いつかバレるし、しょうがないかーー… 「俺のことを気にいってくれる娘さんがいるらしくて、その家に高校卒業と同時にお世話になる予定なんだよねーーーまぁ、心配すんなって ほら、ハルも笑顔笑顔」 「芦ケ谷ーー、さっさと面談すんぞー」担任が呼んでいたので、呆然としている2人に手を振りながら教室を後にする。 ーーーーーーー陽輝視点ーーーーー ーーおい、つまり結婚するってことか? 「陽輝さん?大丈夫っすか?」 その声で困惑した思考回路が一気に働きはじめる。 結婚なんて、、今まで澪のことを大切にしてきたつもりだ。。大切に甘やかして、、最後には澪の世界を俺だけにしてーーー。 でも、ダメだ。結婚は。完全に 紫雨家の思惑通りに使われている!あいつが、澪が他の奴の隣に立つなんてーー。 我慢ならない しょうがない。どうせ、俺は、奪って制す能力しかないんだ。崩れるのなら、はじめから俺のものにしておけばよかった。 さぁ、はじめよう。

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