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カーマインに染まったー陽輝ー3
ある所で一時停止をした。澪が、格子の扉をガタガタしている所。
その場面を見た陽輝の感情は、カーマイン色に染まった。
ーーーーーどうして、俺から逃げるーーー?
君をこんなに思っているのは、俺だけなのに
もちろん、冷静な感情もある。分かっている。
こんなふうにいきなり閉じ込められたら、
誰だって隙をみつけて、逃げ出そうとするだろう。
分かっている!
でも!
澪が逃げ出そうとする姿をみて、胸が燃え上がるように熱い。どんな感情だろう。一番近い感情は、怒りや憤りかもしれない。どうして、思い通りにならないのか?
普段冷静と言われる陽輝は、湧き上がる感情を内に
押し込めようとするが出来ない。
きっとこの感情の高まりを抑えてくれるのは、
澪
ただ一人だろう。
俺だけに頼り、俺が傍にいないと生きていけないーー
そんな姿を 俺は求めているのだろう。
陽輝は、静かに立ち上がり、ある物を用意してから
澪の食事の用意をさせている厨房に足を運んだ。
陽輝は、ふと窓の外を見た。分厚い鈍色の雲が空を
泳ぎ、ゴロ ゴロ と雷の前兆であるかのような音を
鳴らしていた。
沢山喘いでいたから、スープものが喉に優しいだろうとスープを作るように命じていたからか、組で雇っているコックからシチューと柔らかなロールパンを厨房から持ち出す。
ある物を、スープの中にたっぷりと注ぎ込み
澪がいる鳥籠へと向かった。
片方だけ口の端を吊り上げて
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