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イニャム
激しく体を揺さぶられる。
俺は、声もなくビクッと体を起こし、
起こした相手も目で確認せずに、両足から伸びる足枷の鎖の音を鳴らしながらベッドの反対側へと
逃げた。
もう反射的な行動だった。
はぁぁ。 陽輝がため息をつく。
目の前にいる陽輝は、今までとは また なんか
雰囲気が違った。 何処かイラついている。ーーキケンダ
「そんな、怯えられたら、傷つくんだけど」
棘を含んだ口調で言われる。
ビクビクしながら、口を開く。
「……ごめ.....な,.......サイ」最後の語尾はもう消えそうな程小さくなっていた。
ーーーーコワイ
今日は何をされるの。。
ふぅぅ 陽輝がまた深いため息を吐き、腰に手をあて、天を仰ぐ。
俺は、そんな姿の陽輝をベッドの端で縮こまっているしかできなかった。
陽輝がまた数秒後に顔をこちらに向けた時には、口の端を上げた表面だけ優しい陽輝になっていた。
「脅かしちゃったね。 ねぇ、れい、お腹空いてるでしょ? ご飯にしよっか」
陽輝のその言葉に自分が空腹も忘れていたことに気づく。もともと食は細いけど、何日食べていないんだろ...。窓も時計もないから把握できないんだけど。
陽輝がベッドヘッドに腰を預け、持っていたトレイを布団の上に置き、股を少し開いた間に指を指しながら
言う。
「澪、ここ、来て」
行きたくないけど、反抗するものなら、恐ろしい目にあうから.....分かっているけど、中々動かない足を引きづりソロソロと向かう。陽輝に背中を預ける体勢だ。
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陽輝は、時に木のスプーンでシチューを掬って
俺の口に運び、
時にシチューをパンにつけて陽輝の手で
俺の口に運ばれた。
俺は、食べさせられるのも抵抗せずにただ、なすがままになっていた。
ーー逃げられないし、、言う事聞けば、反抗するよりは、まだマシな行為になる。
逃げる糸口でさえ見つけられなかった澪は、目から光を失っているようだった。
従順に餌を飲み込んでいく澪の姿に陽輝は、「可愛い」と甘い言葉を囁き続けていたが。
逃げることを考え、何とか精神の安定をはかっていたが、それすら奪われてしまった。
ネガティブな考えが溢れ出す。
学校に行ってないけど、どうせ俺を心配する人なんていない。世間で家族と呼ばれる人達は、邪魔が居なくなったと俺がいなくなったことを喜々するに違いない。
俺のことを本気で思ってくれたのは、陽輝ぐらいだ。
でも、もう陽輝も違うのだ。俺の勘違いだ。
陽輝を変貌させてしまった自分は、陽輝の気がすむまでここで囚われている方が価値があるのかもしれない。
待て。もしかしたら、俺のことを思ってくれている人が一人かもしれない。そう思ったら、
「紫苑さん」と口に出してしまっていた。慌てて口を塞いでみたが、気付いた時には既におそく、背中から
寒い気配がする。恐る恐る陽輝の方へ首を向けた。
「あぁ、彼女のこと、気になるの?」陽輝は、いつでも微笑んでいるイメージでいたのに、この時は表情というの表情が全てぬけおちてしまったのでは無いか、というぐらいに冷酷な顔だった。
その顔を見て、俺は紫苑さんの安否を気にしだした。
なんで自分のことばかりになっていたんだ!!そういえば、紫苑さんのことで陽輝は変貌してしまったの?
あの時期に変わったことと言えばそれしかない。。
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