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偽りの生活
ん・・・
なんか、くすぐったいっ
「んんっ」
ボクは、不快感を覚える頭の何かを退けるために
手ではらうように動かす。
すると、
「こーらぁ」額に吹かかる吐息とともに、甘い声が
ボクを覚醒させた。
ハッと目をあけると、男らしい喉仏が現れる。
「ぁ゛..」(あ、ハル..)と言おうとしたけど、発声出来ないことに驚いて、自身のほぼ埋まっている喉仏を擦る。喉が乾燥して少し痛みを感じた。
「あ、れい、起きた?よく寝てたねー」おそらく、
対面で腕枕をして寝ていただろう陽輝によって上半身を起こされた。
「ンぅ゛」
腰に激痛。いたい。
「痛い?ほら、これ飲んで 鎮痛剤溶かしてるから」
いつの間にか、左手にストローがついたペットボトルを渡されて、促されるままに飲む。そこで気づいたが、忌々しいて手枷は無く包帯が巻かれていた。
澪の目線に気付いただろう陽輝は、
「あぁ、少し擦れてたから、軟膏塗って処置しといたから、足もね」
枷は、内側が毛皮で痛みも感じ無かったから擦れたと言っても赤くなってるぐらいだと思うけど、(枷よりむしろ、縄で縛られた時の方が跡が残ってるから、そのためかもしれないけど、) ボクを大切にしてくれる陽輝だと思った。
手枷、足枷も無いけど、首輪から伸びる鎖の音で
まだボクは、陽輝の望むようになれていないことを思った。だけど、少しだけだけど、首輪や鎖がボクを捨てないことを表しているようで嬉しい気持ちがいる。。。
フワフワと夢見心地で考えていると、陽輝はいつの間にかボクの元を離れていて、扉がある鉄格子の方へ、向かっていった。
「俺は、学校行ってくるね。れい、いい子にしてるんだよー」
あ、待っ ...行ってしまった。
学校、そか、、。ボクも外に出たいな...。皆と会いたい。いきなり来なくなったけど、心配はされてないだろう。だって、陽輝程、仲良くしたことないんだよな...。
ただのクラスメイトとして話す感じ。祐介も、陽輝の友達って感じで2人でお話することも無かったものなぁ。。
こんな生活が待っているんなら、もっと皆と仲良くしたかったなぁ...。
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