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01ー12

がたん、がたん、と不規則に揺れる振動で目を覚ました。目を開けたはずなのに視界には何も映らず、起き上がろうとしたがそれも出来なかった。 「あ、ソロ君起きたね。騒がれたら面倒だからちょーっと縛らせて貰ったよ」 何が起きているかもわからないままただ自分の置かれている状況が理解できず身動いでいると比較的近い場所から聞こえた声に意識を向ける。 「ぐ、…、」 「お、意外に暴れないね。やっぱりソロ君って案外賢いよね。普通喚き散らすとか暴れるとかするのに」 意外そうに続けられた言葉に喉おの奥から唸り声が漏れる。それに面白そうに俺をこうした張本人、トレイルが見ている気配がした。 「こんな扱いしちゃってるけど、別に売り飛ばしたり奴隷にしたりする訳じゃ無いから。結論から先に言うと君は今から虎の国に行く。それでボクたちで保護させて貰う」 「…!?」 「理由は夕方あった時言ったと思うけど、君がヴァイスとそういうことしちゃったから」 俺が、虎の国にいく?保護?全く予想していなかった言葉の羅列に思考が止まりそうになるが、ここで止めたらダメだと辛うじて動く頭を床に打ち付ける。 ごん、と鈍い音が不規則に揺れる空間に響いた。 「ちょ!ほんと酷い目に合わせたりしないから早まんないでくれるかな!?…あ、痛みで冷静になろうとしてるのか。なるほどぉ。でもさー、ソロ君縛った時思ったけど君って冷静になろうとしてる時自傷する癖あるでしょー?もう腕とか唇とかボロボロ。ダメだよああいうのー」 痛みが有効だっていうのはわかるけどー、と間延びした口調で告げるトレイルに苛つきがどんどん溜まっていく。身体の自由を奪い、視界を奪い、声も出せない様にしているくせに。 そう思うとまた俺の喉から獣の様な呻き声が漏れた。 「…とても今から運命の番に会えるってΩの反応じゃないんだよなぁ。普通Ωならさ、意思とは関係なく喜んじゃったりするものじゃないの?あ、でもそんなこと言ったらヴァイスもそっか。君達ってほんとに運命の番なのかな?」 俺がもう自分を痛めつけない様にトレイルの手が上から俺の頭を押さえる。床に押し付けられた状態で話される内容は俺からすれば死刑宣告だった。 気がつくと俺は渾身の力で咬まされていた布を噛み切っていた。 「あいつに会いたくない…!」 「わお、びっくり。噛み切るなんてさすがスラム育ちは違うね」 「頼む、あいつに会いたくないんだ!」 「無理無理。あの人もおんなじ事言ってたけどそれ本当不可能だから。なんでそんな嫌がるわけ?運命のつが」 「運命運命ってうるせえんだよ!あんたも、ジイさんも!好きであんなヤツとヤったんじゃねえ!こんなの呪いだ…!」 血を吐く様な思いで叫んだ言葉にトレイルが息を呑むのがわかった。 けれどそれで俺の拘束が解けることはない。 「…けど、残念ながら会って貰うよ。ヴァイスの為にね」

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