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01ー15※
肩に食い込んだ牙は肉を裂いて骨すらも砕こうとする。あまりに痛みに俺は全力でコイツを押し退けようとするがびくともしない。
「ーーーっ!!は、なせ…!!」
「悲鳴を上げねえ事は褒めてやる。さすがはスラム育ちだな、弱者の生き方が染み付いてる」
鼻で笑い肩から口を離したヤツの口元は俺の血で真っ赤に染まり、口に入った赤を不愉快そうに床に吐き捨てていた。
ぶつん、と何かが切れたのを頭の中で聞くと気が付いた時には俺の足はアイツの腹に減り込んでいた。
「、!?」
「てめえみたいな貴族が一番嫌いなんだよ、俺は!一人じゃなにもできねえくせにいつも俺たちを見下しやがって、お前らがそんなんだから…っ!」
脳裏に浮かんだ幼い顔に目に薄く膜が張る。
今になって涙が出るなんてどんな皮肉だ、と内心自分を嘲りながら俺はコイツの前だけではどうしたって泣きたくないと歯を食い縛って堪える。
「…この、劣等種が…!!」
ぐるる、と獰猛な音が耳に届いた頃には俺は喉を掴まれ床に押さえつけられていた。
「がはっ、」
「…情けで殺してやろうと思ったが、やめだ。お前が一番嫌がる事をしてやるよ」
殺気立って牙を剥き出しにしていた男が呼吸ができず苦しむ俺の姿を見て何かを思いついた様に口角を上げた。
途端に広がる、やはりあの時よりも濃い香りに身体は熱を持つのに俺の顔からは血の気が引いていく。
「メスにしやろう」
首を押さえ付ける力はそのままに耳元で囁かれた甘さと怒りと、そして狂気すら混じった言葉に視界が真っ暗になった気がした。
ぶわっと一気に香りが広がる。
それは前回の比ではなく、コイツが自分の意思でそれを出している事に俺は絶望を覚えた。
「っは、ぁ…っ、いや、いやだ…っ」
「そうは言ってもお前の顔はもうしっかり発情したメスの顔だなぁ。お似合いだ」
拒絶したいのに出来ない。
抗えない絶対的な何かが俺の全てを塗り替えようとしてくる。
俺はなす術も無くそれに流されていった。
「やだ、さわんな、いやだ…っ」
少し触れられるだけで体に甘い痺れが走って口から泣き声の様な細い声が漏れる。
鋭い爪で簡単に服を引き裂かれて、貧相な身体が晒される。
案の定鼻で笑われるがそれと同時に触れられる事があまりに気持ち良くて、でもいやで、俺は訳もわからず涙を流していた。
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