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02ー2※

「あ、あ…っ、ん…、ふ、ぅーっ、!」   チリン、チリン、と高く澄んだ鈴の音が部屋の中に響く。 それと混ざる荒い呼吸と甘ったるい声は明らかにそれが交わっている最中だと言うことを現していた。 「ンンぅ…っ、は、い"っ、ぁ"…っ!!」 ズチュ、と結合部から淫らな水音が鳴る中で今度は痛みを含んだ声が上がる。 途端に広がる鉄の匂いに服がまた一つダメになった事を悟った。 「も、噛むなってば…っ!ひぐ、ぁ、は…、」 「噛んだら締め付けが増す。てめえは黙って喘いでろ」 目の前にはシーツ、腰を大きな手で掴まれて俺は後ろからクソ野郎ことヴァイスに貫かれていた。もう何度目かわからない行為は発情期(ヒート)じゃなくともコイツの気分次第で何度も行われた。ただコイツの匂いだけで体がおかしくなる俺には、そうだろうがそうじゃなかろうが全くもって関係ない。 「ンン"っ!っは、ふ…、さっさと、イけよクソ野郎…!あ"ッ!」 「…躾のなってねえ狐だな」 「劣等種な、もんで…っ、残念だったな…」 後ろを振り向き中指を立ててやればお貴族、と言うか王族のくせにその意味を正確に理解して更に激しく責め立てられる。 ベッドの軋む音に、正しく獣の様な行為。虚しいなんて思うことは早々に止めた。 これはただの暇潰し、そう思えばまだだった。 ーーー ホント、ロクでも無えな。貴族も王族もαも。 貧富の差はあれど、やはりどの国でも平民に対する価値観なんて同じだった。 これだけ豊かな国ならば貴族たちもそれなりに優しいんじゃないかと僅かな希望を持ったが、俺と言う存在が王城内で広がる度に、すれ違う奴らから心ない事を言われる機会が増えた。 そりゃあわからんでもない。 みすぼらしい体に不釣り合いな服、首に嵌められた大袈裟な首輪に極め付けは第三王子の運命の番ときた。けれど番の契約をしていないことは匂いでわかる。 これだけ色々な要素があれば嫌でも人は興味を持つし噂もするだろう。 本当に、どこも変わらないなと俺はため息を吐きながら自分の体に薬を塗っていく。 ジクジクと痛む傷に眉を寄せるが、正直これくらいの痛みなら慣れっこだ。 頸を噛まれるよりは余程良い。 俺に与えられた部屋で自分の怪我を処置して、新しい服に着替える。 ここにあるものは全てトレイルが用意してくれたものだ。部屋自体は元々客人用で、今は俺専用の部屋。どれだけ見ても俺には豪華すぎるが逃げることもできない俺はただここで飼い殺されるしかなかった。 「…やっぱジイさんの言う通りちゃんと勉強しときゃよかったかなぁ。つかジイさん元気かな、飯食ってんのかな。あの人めちゃくちゃ頭いいくせに力仕事とか全くできないからな…」 「君がヴァイス殿下の番殿かな?」 「うわぁああ!」 突然目の前に現れた偉丈夫に俺の口からは情けない叫びが上がりそれを見た狼の偉丈夫は愉快そうに大笑いしていた。 「驚かせてしまったね。いや、君に興味があって会いに来たんだ。何もしないと誓うから、少し私とお話ししよう。きっと君の為になる」 深い皺が刻まれた一見すればとてつもなく厳つく強面だが、目がどこまでも優しくてそれが爺さんと少し似ていて、俺は気が付くと首を縦に振っていた。

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