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04ー11

優しさに付け込ませて、トレイルがそう言ってから既に数日が経過してしまった。 俺はてっきりヴァイスは悪い奴じゃないんだよ、リド様も悪気があったわけじゃないんだ全部優しさでやった事であってあの人達に罪はないだのなんだの言われ続けるものかと思っていた。 実際、一週間何もない期間が過ぎても俺は未だにそう思っている。 いつトレイルからその胸糞悪い話題が出るのだろうと構え続けて、今日も既に日が暮れ掛けていた。 「イチちゃんニイくーん!晩ご飯できたよー!」 「はーーい!」 元気よく返事をして勉強していた部屋から飛び出す様に出て来た子供たちは今日も花丸の笑顔で食卓につく。 「わあ今日ハンバーグだ!」 「野菜より肉のほうが多い!」 「お兄さん奮発しちゃったよー。さ、召し上がれー」 目をキラキラと輝かせてハンバーグを口一杯に頬張る子供たちを心から可愛いと思うし癒されるとも思う、けれどこの状況に俺は何日経っても頭を抱えていた。 トレイルの馴染み方が尋常じゃない。 「おいしー!」 「あは、でしょー?お兄さんイチちゃんとニイくんに美味しいって言って欲しくて頑張っちゃったからなー」 きゃっきゃと明るく楽しく食事を進める子供たちとそれをにこにこしながら眺めるトレイル。 子供たちはすっかりトレイルに懐いていた。俺が怒鳴り散らした次の日は子供たちがアイツやリドさんに泣き叫んで怒っていたとトレイルとから聞いたが、それが本当だとするとこの懐き方は素直にすごい。 「ソロ、ご飯食わねえの?」 「ん?ああ、食う。ちゃんと食うからそんな目で見んなって」 様子を眺めるだけで一向に食べようとしない俺をニイが眉を下げて問い掛けて来る。 食い物に罪はないため例えトレイルが作ったものであろうと全て平らげている俺だが、やはりここ数日の違和感にはどうしたって気がついてしまうのだろう。 子供にすら心配をかけてしまうのが情けなくて俺は力なく笑いながらニイの頭を撫で、その手を離してから漸くフォークを手にしてトレイルの作った料理を口に運んだ。 「あ、こらニイくん。人参残しちゃダメだって前もボク言ったよー?」 「で、でもにんじん食わなくても生きてけるし…!」 「あー、そういうわがままいけないんだー!」 「イチだっていっつもピーマン残すだろ!」 トレイルはこの数日間無意味に俺に話しかける様な事はしなかった。 機嫌をとる様なこともアイツらを擁護することも無く、ただずっと家にいて時々居なくなってまた戻ってくる。 される会話といえば挨拶と、飯の知らせと、それくらい。 ただ俺が落ち着くのをじっと待って、機を待っているのだろう。それはそれで腹立たしくもあるが、それでもアイツらよりマシだと思えるくらいには俺にもほんの少しだけ余裕が出来ていた。 けれどそう思ってからまた数日様子を見てみても、トレイルから話を切り出す事はなく焦れた俺が自ら問いかけた事で素晴らしく腹の立つ笑顔を向けられる事になる。

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