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どうしても欲しくても手に入らない物って人生で一つはあると思うんだ。 それは地位や名誉や財産や、チープな話で言うと愛情ってやつだったり様々。 君はどんなものが欲しかった? ボクはね、家族が欲しかった。えー、ありがち? まあでもそうかもね。家族が欲しいってのは確かにありがちかも。でもボクは家族がどうしても欲しかったけど手に入らなかったよ? 厳密に言うと手に入らなかった、じゃなくて気がついたときには誰も居なかったってだけなんだけどさ。 じゃあこれから作れば良いじゃんって? そうだね、そう出来たら簡単だったかも。けどさぁ、そう出来ないヒトもこの世には居るんだよ。まあボクなんだけどさ。 うん、ボクの話はどうでも良いんだよ。 あ、なんでこんな感じか聞きたいヒト沢山居るっぽいねー?手ぇ挙げてごらーん? わあ、最高全員じゃん。 うんうん、じゃあ話そうかな。 まずは、最初に言った人生でどうしても欲しいものね。それが目の前にあったら、君ならどうする? 手に入れるかな、臆するかな、勇気を出すのかな。 まあ何もしないってのはアウトだよね。アウト中のアウト。 でも、世の中にはそういうヒトもいるんだよなーこれが! 「あ"ー、何やってんだよヴァイスぅ」 望遠鏡を使って覗く先には庭に佇む二人。 一人はなんの行動もしない。それはわかってた、むしろこの場に居てくれてありがとう! けど問題は無駄にキラキラと輝く銀髪を風に靡かせているボクの主人であり友人。 その顔はなに。そんな顔見たことないんだけど! 尻尾めっちゃ丸まってるし! ああ、あんな友人見たくなかったと思いながらもボクは近くの木の上でその様子を見守るしか出来ない。 人生において最も欲しいものが目の前にあったらどうする? ボクなら奪い取る。 けどそうはしない友人がボクはとても好きだった。 あ、友人としてね? 手に汗握りながらボクは望遠鏡を覗き込んで友人に心の中でエールを送るのであった。

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