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06ー13

左肩を何かが突き抜けていくのを他人事のように感じた後、俺はその衝撃に耐えられず少し後ろにまで身体が持っていかれて背中から床に倒れ込んだ。 世界がやけにゆっくりに見えて、軽く吹き飛んで行く俺を見たアイツの何も理解出来ていない様な顔がなんだか面白くて笑いたいのに、それが出来なかった。 「…ソロ…?」 床の倒れた時の衝撃だって感じない程気が動転しているのが自分でもわかった。アイツが震えた唇で確かに俺の名前を読んだ時、一気に全部の感覚が蘇る。 聴覚が一切機能していない程心臓が煩くて、腕が千切れたんじゃないかって言うくらいに痛くて歯を食いしばる。 アイツが俺に寄るのと新しい金属音が聞こえたのはほぼ同時、血が溢れ出るのも、信じられないほど痛いのも全部無視しながら立ち上がりアイツの方に走りだそうとした。 けれどそれよりも先に大きな身体に抱き竦められて俺はその場から動けなくなってしまう。 「だめだ、まだ音が」 周りの喧騒なんて一切聞こえないのにコイツを狙っている音だけがやけに鮮明に聞こえて俺が無我夢中で首を振る。このままだとコイツが怪我する、嫌だ、それだけは嫌だと抵抗するのに一切腕の力は弱まらず俺は顔を歪めた。 「ヴァイス…っ」 怒鳴りたいのに時間が経つ度に体から力が抜けていく。視界も段々と定まらなくなって来て、目に入るもの全てがブレていく。 どうして逃げてくれないのかと言葉に出しても、ソイツは何も言わずにただ俺を抱き締める。 なんで、どうして、そんな疑問が口から泡のように浮かんでは消えていく。 キリキリ、とまた音が聞こえた。 周りなんてわからない。もしかしたらこれは俺の幻聴で本当はもう全部終わってて、イチとニイが大泣きしているかもしれない。だけど、そんなもしもの事より、俺は今コイツを守ることの方が大事だった。 ヴァイス、そう口にした言葉が音になっているかどうかすらわからない。 残りの力の全てを振り絞ってコイツの身体を突き飛ばす。 ガチャっ、とまた同じ音が聞こえた時迷わずアイツを守るように前に飛び出していた。 「ソロ!」 俺の名前を呼んだのは誰だろう。 それに応えることも出来ず俺は目を閉じた。

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