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08ー4

子供たちが両手いっぱいに持って帰って来た箱や袋の中にはお菓子はもちろん何故だか星を象った飾りなども沢山入っていた。 どうやらパーティーをすると知ったミシュリーが色々と用意してくれたらしい。そして持たされたお菓子はいつも通り食べ切れないほど沢山あって相変わらずの太っ腹加減に笑ってしまう。 「ミシュリーがソロはもっと食べて太りなって言ってたよー」 「あと、体は大丈夫なのかって心配してた」 飾り付けもひと段落して四人でテーブルを囲み紅茶やホットミルクを飲みながらミシュリーが多めに持たせてくれた焼き菓子をサクサクと頬張る。 優雅に、けれどいい速さでサクサクとクッキーを咀嚼し耳や尻尾を揺らすジイさんの姿に笑いを堪えながら同じ様にご機嫌にしっぽを揺らしてお菓子の美味しさに笑みを浮かべていた子供たちの言葉に目を瞬かせる。 俺が怪我をして城にいた、というのは仲がいい人たちは皆知っていたりする。 ヴァイスが俺のもとにあしげく通っていたことを街の人たちは大体知っているのだ。ということは必然的に俺とアイツがそういう関係かもしれないという事も知れ渡っている為、長期間家を開けていても不思議には思われない。 それになんとも言えない気持ちになったというのはまた別の話だ。 「そっか、心配してくれてたか。今度顔見せに行かなきゃなー」 「祭りの日に行ってやるといい。ミシュリーの店は毎年ホットワインを出しているからな、買ってやれば喜ぶさ」 口の周りについたクッキーのカスを優雅に払いながら告げられた言葉に俺は目を瞬かせる。 「え、冬の祭りっていつ?」 「二週間後だよ!」 俺の問いかけに元気よく答えたのはイチだ。ふん、と得意げに胸を張って答える姿は文句なしに可愛い。そんなイチを少し冷めた目で見ているニイも可愛い。 「て、え、そんな近えの?」 「そうだよ。ソロ街に行かねえから知らないんだろうけど、もう祭りの準備で大変なんだからな」 そう、あまりに寒さに弱い俺は本格的な冬に入ったわけでもないのにもう家から出られないでいた。 寒すぎるのが悪いのだと、俺は胸を張っていいたいがじとっとした目で見てくる子供たちと呆れた顔でクッキーを頬張るジイさんに見られてしまえばそんな事も言わずに目線を泳がせるしかない。 あはは、を乾いた笑いをあげながらズズ、と音を立てて紅茶を啜るとジイさんの眉がぴくりと跳ねる。 「でもソロお祭りは一緒に行くでしょ?じゃあその時まで街降りたらダメだよ!」 「なんでだよ」 「だってソロこのお祭り初めてだから、きっとそっちの方がびっくりするよ!だってとっても綺麗だもん!キラキラで、ふわふわしてて、お城のパーティーよりずっときれいなの!」 瞳をキラキラと輝かせながら語るイチとは正反対にニイは城、という言葉を聞いただけで体を跳ねさせる。 それに言った後に気がついたのかイチはしゅんと耳を垂れさせジイさんも複雑そうに眉をさげた。

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