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第1話・引っ込み思案なぼくの必需品は携帯望遠鏡。(3)

 ぼくたちは英語の授業なんだけど、担当の先生が風邪をひいてしまってお休みのため、自習。  おかげでぼくたちは、窓からよく見えるグラウンドを覗き込み、体育の授業を受けている憧れの三浦先輩が走る姿を見つめている。  ぼくはチビだから、窓辺で群がるみんなの陰にすぐ隠れてしまう。  そういう時こそ、この携帯望遠鏡の出番だ!!  ガサゴソと通学鞄の中から取り出し、椅子に立って、三浦先輩を眺める。  あ、見つけた。  ジャージ姿の三浦先輩は、風に髪をなびかせ、グラウンドの外周を走っていた。  額には汗をかいているのに、その汗はまるで朝露のようで、ものすごく綺麗だ。  薄い唇が開くその表情も格好いい。  あっ、今、額を手で拭った!  やっぱり先輩は格好いい。 「あ~あ、真壁はいいよな、三浦先輩と近所の隣同士でさ」  ふと、ぼくの隣にいた同級生の山本くんがぼやいた。  山本くんは羨ましそうに言うけれど、家が隣だからってぼく、先輩とお話ししたことなんて一度もないよ?

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