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第3話・それでも大好きなあの人。(7)
現実を理解すれば、ぽろぽろと涙が零れた。
これはきっと罰だ。
先輩が嫌がることをした、ぼくへの罰。
だからこうなっても仕方がないことなんだ。
「っひ、っく……」
もう何もかもが悲しくて、静かに嗚咽を漏らす。
……先輩。
大好きな人を想いながら、最後までされるのを覚悟して、目を閉じる。
全部が終わるのをじっと堪えて待っていると――それは突然だった。
「悪いけど、この子は俺のだから。諦めてくれない?」
「い、ててててっ!」
ぼくを襲っている男の人とは違う、また別の人の声が聞こえたのと同時。
大学生の男の人は悲鳴を上げていた。
どうしてかな。
新たに現れたその人の声は知っている人にそっくりだ。
びっくりして顔を上げると、そこには――。
「っつ!! 三浦、せんぱっ!?」
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