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第3話・それでも大好きなあの人。(10)

 ぼくは、今度は先輩の腕から逃れるため、身を捩る。 「翔夢(つばさ)くん」 「ん、ぅうっ!?」  突然、名前を呼ばれて顔を上げれば、ぼくの口が塞がれた。  どうして?  なんでぼくは今、先輩とキスしてるの?  息苦しくなって、ほんの少し口を開くと、そこから滑った何かが侵入してきた。  なに、これ!?  滑った何かは上顎から歯列をなぞり、下顎へと移動する。  ぼくの口内を我が物顔で蹂躙するのは、先輩の舌だ。

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