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第4話・追って追われて恋模様。(3)
覚悟して、目をギュッとつむる。
だけど、先輩は怒る素振りを見せなかった。
「謝らなくても良い。俺も同じだから」
「えっ?」
思ってもみない言葉を耳にして、反射的に顔を上げると、先輩は眉尻を下げて、にっこり微笑んでいた。
「視線を送ってくる君が可愛くて、つい、俺も君を見ていたから……だから知っていたんだよ。君のお母さんが看護師をしていて、今日は翔夢 くんは、ひとりきりだっていうことを……」
「あっ、あのっ?」
先輩の言葉は、ぼくが予想していたものじゃなくて、焦ってしまう。
口は開閉を繰り返すばかりで、言葉が出てこない。
「好きだよ。振り返れば、普段はあまり笑わない君が頬を染めて、心の底から嬉しそうに微笑んでいる君が……お母さんを手伝うために、アルバイトをしていることも。そうやってアルバイトだけでも大変なのに、勉強だって、順位を落とさず、ずっと真ん中よりも上をキープしていることも――容姿ばかりじゃなくて、性格だってとても健気で可愛らしい」
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