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第4話・追って追われて恋模様。(12)
――けっして、先輩とはこういう関係にはならないと思っていた。
だからストーキングをして、自分の気持ちを誤魔化した。
手に入らない人だから、想っても無駄だって、自分に言い聞かせていた――。
それなのに、ぼくは今、先輩に抱かれている。
「どうしよう、すごく嬉しい。ゆめ……みたい」
――言った矢先。目尻から、じんわり涙が伝う。
「夢じゃない。君はもう、俺の恋人だよ?」
ぼくの小さなつぶやきに、先輩は、静かに耳打ちをした。
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