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番外編1・見つめて、見つめられて恋模様。(1)
ガタン、ゴトン。
揺れる車内はいつもとてもギュウギュウ詰めだ。
だけど、今日は昨日のように人に押されることはないし、苦しくはない。
目の前には大好きな人がいて、まるで王子様みたいにぼくを守るように立ってくれているから。
大好きな人っていうのは、ぼくよりもひとつ年上の人で、同じ学校に通っている、三浦 健遙 先輩。
先輩のおかげで、いつもみたいに息苦しくはない。
でもね、別の意味で息ができない。
だって、大好きな先輩と一緒にいるんだよ?
それは昨日の夜。
先輩と両想いになったんだ。
しかも、しかも、先輩に抱かれたのっ!!
……うう。
昨日のことを考えただけでも、もう頭がグルグルする。
胸がドキドキして、息ができないよっ!!
それでも、とても格好いい先輩が見たいって思うんだ。
先輩の視線が窓の外にあることを見計らい、そっと先輩を見る。
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