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番外編1・見つめて、見つめられて恋模様。(2)
ああ……。
やっぱり先輩は格好いいな~。
長いまつげに、二重の細い眼。
そして男の人らしい薄い唇に……。
あの唇と、昨日ぼくはキスをしたんだよね。
朝から不埒 なことを考えていると、先輩はぼくの視線を感じ取ったらしい。窓の外を見るのをやめた。
ぼくは慌てて先輩から顔を逸らし、うつむく。
そんなぼくに、先輩は腰を屈め――さっき見ていた薄い唇が、ぼくの耳たぶに触れた。
「あまり縋 るような目で俺を見ないで。そんなふうに見つめられると、今すぐ食べちゃいたくなるでしょうが……」
ボソッ。
耳元で囁かれた。
「っせ、っ知、し、って!!」
先輩はどうやらぼくの視線に気が付いていたらしい。
先輩から吐き出されるあたたかな息が耳孔から身体中に行き渡る。
……ああ、もうダメ。
「ふにゃあああ~」
ぼくの身体から、力が抜けて動けなくなっちゃった。
その日、ぼくは先輩におんぶしてもらって登校しました。
*えんど*
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