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征服欲 ①★

「お前がおったら、親父は大丈夫やろうと思うたし。俺も安心して任せられたし」 「アホか……」  和馬が再び顔を上げて、煌生を睨んだ。 「親父が平気なわけないやろ。お前は親不孝もんや。孝行できる親がおるのにそれを放棄するなん、最低や」 「…………」  そう吐き捨てるように言った後、和馬は再び背中を向けた。さっさと皿洗いを終わらせると、キッチンの隅に置いていた自分の鞄を手に取った。 「飯はできたから。温めて食べてや。要るもんがあったら、次までにリストにしといてくれ」  素っ気ない態度のまま、和馬が煌生の隣を抜けていこうとした。煌生の中で、何かがチリチリと疼いた。素早く和馬の肩を掴むと、キッチンの壁に乱暴に押しつける。 「なにすんね……」  抗議しようとする和馬の唇を強引に塞いだ。必死で抵抗しようとする手足を動かせないように股の間にぐっと片足を入れて、更に壁に向かって体重をかけて両腕を押しつけた。顔を振って、煌生の唇から逃れようとする和馬の唇を執拗に追い、捉え、舌をこじ入れた。和馬の口内を舌で舐め回そうとした瞬間。 「っつ……」 下唇に痛みが走って、唇を離した。怒りに満ちた瞳でこちらを睨んでいる和馬と目が合う。舌で下唇を舐めると、血の味が口の中に広がった。

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