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とある勉強会の話 6

 ぱちゅんぱちゅんと濡れた音を立てながら、葉月はひたすらに龍樹に突かれた。  そうしながら、可愛い、好きだよ、と声をかけられ続けて、あちこちにキスをされ、指でも愛撫を受けて、葉月の理性は濡れた角砂糖のように溶かされた。後先を考えることもできなくなって、しまいには泣きながら龍樹にすがった。 「たつき、たつきぃ、やだぁ、おしりそんなについたらだめ……!」  揺さぶられながら泣き声を漏らす葉月を、龍樹はひどく満足そうにあやしてくれたが、しかし腰を止めることはなかった。 「葉月、今とっても可愛いよ。お尻で感じすぎてつらいんだよね」 「んっ……うんっ……たつきがずっとおしりこするのつらい……っ……やっ! ちくびいやぁっ……」  龍樹は葉月の髪を撫でて、涙に濡れた目許に口づけながら囁いた。 「何度もイッたから敏感になっちゃったよね。でも俺、葉月のこと大好きだから、葉月とのセックスやめたくないんだ。わかる?」 「うっ……うぇっ……おれもっおれもたつきすきっ……だいすきぃっ……」 「うん……わかってる。ねえ、葉月の身体もっと可愛がっていい? 我慢できる?」 「……が、がまん、できないけど、たつきならおれになにしてもいいよっ……!」  泣き乱れてぐしゃぐしゃになりながら言う葉月に、龍樹は汗を滴らせながら微笑んで、ありがとう、とキスをすると、また長く葉月を鳴かせた。  合宿が終わると、龍樹ら愛を紡ぐ行為を披露した面々は参加者からサインや握手を求められたが、葉月はその場にいなかった。  龍樹になぶられて愛されて、声も出なくなるほど喘がされた葉月はすっかり眠り込んでしまっていて、泣き腫らした目許も哀れで、マネージャーの高津も起こす気にはなれなかった。 「葉月、このままうちに連れて帰っていいですか」  一通りのファンサービスを終えると、龍樹は高津に向かって言った。 「……いいんだけど、くれぐれも身体に無理のないようにね」 「何言ってんですか。世話してべろべろに甘やかすだけですよ」  顔色も変えずに言う龍樹に、高津は苦笑してため息をついた。 「いい加減ちゃんと彼にわかるように言ってやったらどうだい。まだ片想いだって思い込んでるの、見てる方は面白いけど、実際かわいそうじゃない?」 「どうせいつかはわかるんだから、今しか見れない葉月が見たいじゃないですか」  二人が相思相愛であることは、二人を見た者のほとんどが理解していたし、いつもそばにいる高津などは、何故葉月がそのことに気付かないのか不思議で仕方なかった。  公私ともに恋人だという『設定』だと最初に言った言葉が、葉月には強く刷り込まれているようで、龍樹がどれほど露骨な愛情表現をしても、彼はそれもまた演技だと思い込んでしまうらしかった。 「今のうちに絶対俺から離れられないぐらいに仕込んでおきたいんで、高津さんはくれぐれも葉月に悪い虫がつかないようにお願いします」  つきようもないと思うけどね、と高津は頭を掻く。本当に恋人になれと言われてもそうそう感情が伴うものではないから、便宜上そういう設定でと言ったけれども、本当に愛し合ってくれるなら事務所としても有り難いのだ。私生活でのスキャンダルの心配も減るし、不自然な演技を指摘されることもない。 「……言ってあげたら喜ぶと思うんだけどなぁ」  ぼそりと言うと、耳聡い龍樹はそれを聞き逃さなかった。 「普通に言っても本気に取らないんだから、簡単じゃないんですよ。不安がらせようとかそんなつもりは一切ないんですからね」  うん、と高津も同意せざるを得なかった。今回の参加者の声を聞いても、葉月の一途さと龍樹の溺愛ぶりはちょっとした話題になっていて、貴重なものを見せてもらったと高津にまで握手を求めてきた者もいたほどだった。  ──恋は盲目のこのパターンは初めて見たな。  ふと気付くと、龍樹は葉月を寝かせている車のドアを開けて、眠っている葉月の様子を見ているようだったが、その距離もまた異様に近かった。どうせキスか何かしているのだろうと思ったが、あんなにわかりやすいものが葉月にはわからないのかと思うと、龍樹は龍樹で複雑なものがあるのだろう。  さらなる紆余曲折が予感されたが、龍樹の愛を理解した葉月はまた違う魅力を見せるに違いなかった。龍樹を手に入れて満足したと引退されないために、相応の口実や条件を作っておくのが自分の仕事だ。  恋人達の出会いからすべてを見てきた身としては、気分はもはや二人の仲人のようなものだった。

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