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真七くんのファンイベント 1

 シートをかけたソファの上で脚を開いて、真七は荒い息をついていた。  恥ずかしさと戸惑いと不安と、高揚と性的な興奮がいちどきに胸の中に押し込まれたようで、心臓はいっこうにおとなしくならなかった。  ソファの両端には衝立が立てられていて、真七の正面だけは遮るものがなかった。そしてその視界の真ん中に、また男の姿が入ってきた。勃ち上がりゴムをつけたペニスを露出させ、緊張した面持ちで真七の前に立ったのは大柄な青年だった。 「あっあっあのっ真七さんっ、初めまして……! うわ、あの、映像で見るよりすごく可愛い……」  真七は弾む息を抑えながら微笑んで、青年に向けて両手を伸ばした。 「いつも観てくれてるんですか? ありがとうございます。どうぞ……挿れてください」  青年はゴクリと喉を鳴らした。真七はほとんど全裸で、下腹部は濡れて、ペニスは膨らんで下腹の上に乗り、開いた脚の間、奥まった部分にある男を受け入れる場所は、性交の跡も生々しかった。  真七が挿入しやすいように腰を上げると、青年は息を荒くしながら、ペニスをつかんで恐る恐る真七の入り口にあてがった。 「ゆっくり……挿れてください……」  真七の言葉に誘われるように、青年のペニスはずぷずぷと中に侵入してきた。先ほどまでとはまた太さも形も違うものが敏感な場所に入り込んできて、真七は喘ぐ。 「うっ……ああっ……すっすごいです真七さん……っ! こんな熱くて締まるなんて……っ」 「んっ……うん……っ、僕、がんばって締めるから、動いてください……っ! 僕のお尻で気持ちよくなって……!」  真七が言い切らないうちに、青年は腰を遣い始めた。たまらず真七は喉を反らして喘ぐ。突かれる度に高い声が出るのはどうしようもなかった。  ぱちゅぱちゅと水音が響き、真七の喘ぎ声が上がるのは、衝立の向こうにいるだろう男達にも生々しく聞こえているはずだった。見えずとも何が行われているかは明らかで、中途半端に隠されるのも恥ずかしいのだと真七は知る。 「あっあっあっあぁんっ! やっ……奥までいっぱい……!」 「真七さんっ……! すごいっ……すごい可愛いですっ! 俺男に生まれてきてよかった……!」 「ほんと……? 僕のお尻……あっんっ……気持ちいいですかっ……?」 「最高ですっ……真七さん、真七さんめちゃくちゃ惚れ直しました……っ!」  青年は夢中になって腰を振りながら、真七の名を何度も呼んだ。真七は揺さぶられながら、嬉しい、ありがとうございます、と喘ぎの合間で返す。  そして間もなく、電話の着信音のような耳につくメロディが流れた。 「あっ……イカせられなくて、はぁ……ごめんなさい……」  真七は息をつきながら言った。一人あたりの制限時間は3分だ。青年は名残を惜しみつつも、太いものを真七の中から抜いた。 「全然……真七さんとセックスできたの、夢みたいです。応援してます」  額いっぱいに汗を浮かべながら、青年は笑った。つられるように真七も笑顔を浮かべ、火照る身体に息を乱しながらも、また会いに来てください、と伝えることができた。  ソファの上から青年が衝立の向こうに消えるのに手を振ると、彼に責め立てられた身体を宥め慰める間もなく、また別の男性が現れて、真七はぞくぞくと昂ぶる欲情をこらえながら笑顔で挨拶をした。  男性向けのファンイベントは真七にとって初めての経験で、それも抽選で20人のファンとセックスをすると聞いて、最初は不安しか胸になかった。  自分の技術でファンを満足させられるのか、そもそも20人も集まってくれるのか、と思っていたが、蓋を開ければ抽選が成立する程度に申込みがあり、実際に彼らと会ってみれば真七を見る彼らの目は、憧れや欲望や、色々な感情で満ちていて、真七の心も呼応するように騒ぎ出した。  そしていざ脚を開き、前戯もなしに初めて会う男の性器を受け入れてみると、誰もが真七に興奮しきっているのがわかって、自然と彼らを満足させたいという気持ちが湧き上がってきた。  これまでの仕事では相手の方がずっと経験豊富で技術もあり、真七はリードされるばかりだったが、今回初めて素人を相手にセックスをして、受け身であってもリードするべきなのだと知ったのだ。 「ああんっ深いよぉ……!」  奥の奥まで貫かれて、たまらずに涙がにじむ。敏感な部分を容赦なく擦られて、脚が震えた。  真七にとっては初対面でも、相手はこれまで真七が男に抱かれて泣き喘ぐ姿や、身悶えながら果てる姿を見て欲情したり、可愛さや愛しさや、何らかの感情を抱いて来てくれているのだ。  彼らの夢を壊さず、少しでも満足してほしくて、真七は震えながらも中を締めて男の性感を誘う努力をした。 「乳首っ……触ってもいいですか……っ!」  荒い息の中から言われ、真七は切なく眉を寄せながら頷く。わざわざ訊いてくれるのが嬉しかったし、彼の性器は今にも弾けそうなほど硬く張りつめているのがわかった。 「やんっ……! ああっやあん気持ちいいよぉ……!」  中を擦られながら乳首をいじられて、真七は余裕などなく身をよじった。その瞬間に、真七の中で男性器がどくんどくんと大きく脈打って、射精するのが感じられた。 「あ……嬉しい……僕の中でイッてくれて……」  息を乱し、汗に濡れながら、真七は微笑む。  男の欲望を受け止めることそのものが快感になるのだと意識すると、ペニスを引き抜かれるのが寂しくすらあった。

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