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敦也さんのSNS 1

 お仕置き配信の一件以来、敦也(あつや)真七(まな)をよく気にかけてくれるようになって、それは周囲をしてご執心と言わせるほどだった。  実際敦也にとって真七はとても可愛かったし、真七としても何かと褒めて肯定してくれる敦也の存在は有り難かった。  敦也にも真七にも決まったパートナーはいなくて、真七はいわゆる総受けのポジションに落ち着きつつあったが、敦也は度々真七に、 「俺は恋する真七が見てみたいなぁ。好きな人に抱かれる真七は絶対素敵だよ」 と言った。  そんな敦也に、ある日真七が何か日頃のお礼をしたいと言うと、敦也は迷わず真七とセックスがしたいと言った。 「真七の身体、ほんとに最高だったよ。この前はああいう仕事だったからいじめちゃったけど、もっと優しくして一緒に気持ちよくなってみたい」  にこにこと笑ってそんなことを言う敦也に、真七が照れながら、マネージャーさんがいいって言ったら、と返すが早いか、敦也はマネージャーのところに真七を引っ張っていって、早々にOKをもらってしまった。 「やった、真七、俺の家とホテルどっちがいい?」  まるで晩御飯のメニューを訊くような調子で言われて、真七は赤くなりながら、どっちでもいいです、と答えた。  それが昨日のことで、真七は敦也に手を引かれるまま、ラブホテルの一室にいた。  部屋に入ると、敦也はすぐに真七をベッドに座らせて、ツーショットの自撮り写真を撮り、SNSに上げようと言い出した。  敦也へのお礼が、二人のプライベートセックスというコンテンツになるのかと思って、真七は余計に緊張を覚える。  真七の表情を読むことに慣れてきたらしい敦也は、すぐにそれを嗅ぎ取って、真七の肩を抱いてきた。 「真七が嫌だったらアップしないよ。どう?」  真七は敦也を見上げて、首を振った。敦也と親密な関係だと思われることは何も嫌ではなかったし、むしろ有り難いくらいだった。何よりも敦也が楽しそうで、それでいて自分に気を遣ってくれるのが嬉しかった。  敦也は、真七に先にシャワーを使わせてくれて、湯上がりの真七をいい匂いと言って抱き締めてから、自分もシャワーを浴びに行った。  待っている間に自分のスマホで敦也のSNSを見ると、さっき撮ったばかりの写真がもうアップされていた。 『真七とホテルに来たよ〜。真七をひとりじめなんて最高! 優しくするぞ〜』  真七は思わず笑ってしまう。敦也らしくて、真七を持ち上げてくれる文面が嬉しかった。  真七や敦也の仕事はただのポルノではない。ドキュメンタリーでもあり、台本のない恋愛ドラマでもある。お金を払って観てくれる人々の多くは、真七や敦也の人間関係がどう変化して進展していくのかに注目している。そこには事務所の意向による演出が入ることもあれば、そうでないこともあって、今後どうなるのかは真七にもわからなかった。 「お待たせ〜」  敦也が戻ってきて、真七はスマホを置いて微笑んだ。 「敦也さん、僕との写真、上げてくれてありがとうございます」 「あれ、もう見たの? 恥ずかしいな」  そう言いながら、敦也はいつものように笑っている。いつだって真七よりも余裕のある、仕事でも人生でも頼りになる先輩だ。 「僕を独り占めするのって、敦也さんのご褒美になるんですか?」 「もちろん」  敦也は言って、真七の隣に腰を下ろした。 「カメラもないし、スタッフもいないし、二人きりでえっちするんだよ? 真七のことだけ感じられるじゃん」 「……」 「真七は逆に怖くなかった? 俺とホテル来るの」 「そんな……そんなわけないじゃないですか!」  真七が大きな声を出すと、敦也はおかしそうにくすくすと笑った。 「そういうところほんとに可愛い。もーめっためたに甘やかしたい」  そう言って敦也は真七の腰を抱き寄せながら、唇を重ねてきた。真七はもちろんそれを受け入れて、敦也の背中に腕を回す。ついばむようだったキスはどんどん深く性的になっていって、唇が離れる頃には、真七はすっかりその気にさせられていた。 「……やーらしい顔してる、真七」  敦也が目を細めて言う。真七は顔が熱くなるのを感じながら、何も言えなかった。 「えっちでやらしいところ、真七の魅力だよ。俺やらしい真七大好きだもん」  そう言いながら、敦也は真七の脚を撫で、いともたやすく真七をベッドに押し倒した。

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