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第10話 ③

「俺、平民です」 『それが?』 「平民の一番の出世ポジションは、文官府の高官です。あ、監視――護衛だから、詳しくないのか、文官について」  続いてのゲームとして、俺は「気さくな口調を許される仲」になる決意をした。じょじょにタメ語に持っていこう。 『――確かに俺は、文官について、決して詳しいわけではないだろう。だが、出世に制限はないはずだが?』 「ほら、本音と建前ってあるじゃないですか? だから俺もほら、建前としては妃候補だけど、本音としては、ねぇ?」 『っ……それも、そうだな』  ルカスが悔しそうな声で言った。俺は仕事上では人には逆らわないが、特にギャンブルの場においては、人をやり込めるのが結構好きだ。勿論、わざと怒らせたりはしない。自分が正しいと思った時だけ、きちんとそれを伝えるのだ。 「ルカスは貴族?」 『貴族爵位は無い』 「じゃあ俺と一緒だ!」  俺が明るい声を出すと、ルカスが息を呑んだ気配がした。俺は、俺と同じ扱いをされるのが嫌である様子の彼に、「自分と一緒だ」と思ってもらうゲームも始めることにしたのである。

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