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第11話 ④

「ルカスは、一番東の花街だと、どの店が好き?」  率直に聞いてみた。親しくなるには、シモの話が一番だ。それに、花街に詳しい俺は、どの店を贔屓にしているか知れば、彼の懐具合もすぐにわかると踏んだのだ。 『っ、げほ。な……破廉恥な!』 「え? 行かないのか? 賢者なの? すご……花街に行かない男が居るなんて……あ、もしかして、恋人がいるのか? 奥さんとか? いや、だとしても、普通一回くらい人生で、行かないか? 行くだろう!」  世界は広い……。俺は衝撃を受けていた。 『恋人はいない。確かに、何人かの結婚相手の候補はいるが、まだ今の所は結婚していない』 「ふぅん。許嫁の候補がいっぱいいる平民って事は、裕福な商人か、貴族の屋敷の使用人か何かの息子かぁ。それで王宮の騎士になるっていうのも、あんまり無いよな。腕が経つのか? 監視って一応、騎士だろ?」 『ハズレだ。剣の腕には自信があるが、それ以外のお前の推測はすべて間違っている』 「え」  俺はその言葉に、衝撃を受けた。そして思った。なんと、ルカスの側から謎解きゲームの要素がある会話が返ってきたのだ――ノらない手は無い! 「ヒントをくれ!」  思わず俺は、明るい声を上げていた。

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