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第14話 ③
俺が事実を述べると、ルカスが押し黙った。
『非常に仕事ができる有能なものを、国の責務から、表向きはともかく暗い場所に追いやってしまった事――責任を感じないはずはない』
それからルカスが、静かな声で言った。
『だから直接話してみたいと……――そ、そうだな。そう考える人間は、多いはずだが……話さない方が良さそうだな。お前は、会話をしていると、一切有能には思えない』
俺はその言葉に、ギュッと目を閉じた。親近感を演出するべく、気さくに話していたのだが――ちょっと軽すぎたのかもしれない。週末モードが発動してしまったのだ。俺は、書類仕事は得意だが、別段頭が良いわけではないのだ。
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