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第18話『奥手で恋愛経験がない俺でも、これらは童貞扱いで良いと思うんだが』 ①

 俺が連れて行かれたのは、ルカス陛下がいつか正妃様を迎えられた場合に使用される事になっていたという、後宮の三番目の塔だった。現在、二番目の塔には、前国王陛下の正妃様、一番目の塔には王弟殿下のお母上である先々代の正妃様が暮らしているとの事だった――が。 「表向きだ。新聞の記事用には、そうなっているが、実際には、配偶者死亡時は、妃は比較的自由になる事が多い。その時々の国王の采配にもよるが、俺は義母様も義姉様も、特に後宮に留まるようにとは伝えないし、あの二人はお忍びで旅行に出かけるのが趣味で、近衛を連れて出かけてばかりだ」  ルカス陛下はそう言うと、豪奢なソファに座り、膝を組んだ。俺は扉の所に立ったまま、ポカンとしながらその話を聞いていた。 「しかし、オルガ。お前には自由は無い」 「……」 「俺が死ぬまでとは言わない。だが、俺が退位するまでの間は、最低限の正妃の務めとして、ここで暮らしてもらう」  その時、俺の背後の扉が乱暴に開いた。 「陛下! 一体どういう事ですか!?」  入ってきたのは、宰相閣下だった。俺の今朝までの階級表だと、文のTOPだった人物である。宰相にしては歳が若い。三十代後半だ。 「オルガと結婚!?」  響いた宰相閣下の声で、俺は我に帰った。

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