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第20話 ③

「まず、毎週土曜日。お前は必ずポーカーをやりに行き、必ず負けているな」 「っ、た、たまに、い、いやきっと、いつかは勝ちます!」  痛い所を突かれた。俺は、現実を見ないようにして生きてきたのに。 「その後、やけ酒のような真似をするな」 「ち、違います! 単純に酒が好きなんです!」 「アルコール度数が、子供も飲食可能なチョコレートに入っているのと同程度のジュース――俗称、ノンアルコールカクテルを二杯飲んで、お財布の中身をチラっと見ると記載されていた。給料日後の時だけ、希に三杯目を頼むそうだな」 「あれは立派なお酒です!」  ……俺は、酒が好きだ。大好きだ。ただ、非常に弱いのだ……。 「――その後、お前はすっからかんの財布を片手に、東の花街へ行き、一番安い娼館へと足を運ぶが、全く手が届かず、客引きと雑談をして、仕事終わりの娼婦や男娼との『添い寝コース』を格安で頼み込み、購入して、必死に行為を頼み込むも、追加料金を求められて、払うことができず、追い出されてばかりいるな」  まさかそんな所まで調べられているとは思わず、俺は震えた。 「けど俺、童貞じゃない! 後ろもやった事がある!」  これは男の沽券に関わる。 「そうなのか? 玄人の娼婦が、あんまりにも可哀想すぎて、一回だけ舐めてあげたと証言しているようだが。その際、隣の部屋の娼婦も驚くような声を上げたそうだな」 「っ」 「男娼も、物は試しだと思って、サービス期間中に指を一本挿れてみたら、煩いほどに怖がって号泣するものだから、萎えてやめたと話していたようだが」  ルカス陛下は、俺を馬鹿にするように見ていた。わなわなと震えるしかできない自分が悔しい。 「俺の黒歴史を、奴らは喋ったのか!?」 「それで? 奥手で恋愛経験がない俺でも、これらは童貞扱いで良いと思うんだが、お前の見解は違うらしい。詳しく聞かせてもらおうか」

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