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第22話 「いやぁ、さすはオルガ様! 優秀!」①

 翌朝俺は、侍従に揺り起こされた。朝の光の中で目を開けると、美味しそうな朝食が運ばれてきていて、クローゼットの扉は開かれ――本日の俺の衣装が入っていた。 「自分で着られます」 「ですが、オルガ様」 「ちょ、その呼び方、嫌なんですが」  まだ寝ぼけていたため、俺は外面を忘れた。それからハッとして息を呑んだ。そうして改めて、侍従を見た。この人物は、昨日からずっと、俺の部屋にいて、俺の世話をしてくれているのだ。 「あの……おはようございます」 「おはようございます、オルガ様」 「お名前は何と仰るんですか?」 「僕ですか? ワークワーク伯爵家の三男で、レストと申します」 「伯爵家!? も、申し訳ありませんでした……」  貴族に逆らってはならないのだ。俺は一気に覚醒しながら、シャツを着た。するとそんな俺にリボンを手渡しながら、レストさんがクスクスと笑う。俺と同じくらいの年に見える。 「オルガ様は、お妃様――候補といえど、一年後には御成婚なさるのですし、頭を上げてください」 「多分、その内、婚約破棄すると思います」 「ううーん、オルガ様の本意でないとしても……陛下がご結婚なさらない事は後宮や宰相府の頭痛の種で、外交的にも国内の行事的にも、書類の面でも厳しいものがあったので、陛下が絶対に嫌だとでも言い出さない限り、僕も含めて全力で外堀は埋めさせて頂きます! むしろ、陛下も断るのが不可能になるくらい、頑張ります!」 「……」 「僕の職務は、オルガ様の補佐及び、つつがなく挙式までことを運ぶ事なんです」  垂れ目のレストさんは、穏やかに言ったが、その瞳に有無を言わせぬ色を見て、俺は複雑な気持ちになった。その後口にした朝食は、非常に美味だった。

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