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第23話 ②

 こうして食後――俺は、レスト(呼び捨てにするようにと言われた)に連れられて、後宮の第四塔へと向かった。緊張しながらノックをし、静かに扉を開ける。すると返事があったので、扉を開けた。 「……――!?」  そして俺は目を見開いた。膨大な量の書類の山が、今にも雪崩を起こしそうになっていたからである。なんだこれは。俺のいた部署ではありえない。こうなる前に、俺が片付けていたからだ。目の前をひらりと舞った羊皮紙を手に取る。 「……右の迎賓館の前の花壇に植えるお花の費用のまとめ……?」  俺はタイトルを口にした。その後、花の名前や種の名前を見てから、一番下の合計金額を見て、思わず叫んだ。 「白詰草が350万デクスって何!?」  デクスというのは、このフローララルリス王国の通貨である。 「白詰草なんて、その辺に生えてるだろうが!」  俺の声に、皆がぴたりと動きを止めた。そして、焦るように俺を見た。 「そうなのですか? 王妃様」  この国は、比較的大雑把なため、正妃・側妃・お妃候補は全て、『王妃』と文官は呼称する。だからおそらく、視線的にも、今の文脈で言う『王妃』は俺なのだろう……と、考えてレストをチラっと見ると、頷かれたので、俺は改めて室内を見た。

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