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第25話 ④

「ふぅ」  こうして、部屋中の書類を、昼食も忘れて片付けていたら、既に夜になっていた。  完璧に、部屋の書類が消えた。やりきった感がある。  満足して俺が笑顔を浮かべた時、レストがまたクスクスと笑った。 「確かに、これが適正価格じゃ、すぐに裏金だとバレてしまいますね」 「――え?」 「今度からはもっと上手くやれますね」  レストがそう言うと、感涙したような顔でデイルさんが頷いた。 「諜報部の方にそう言って頂けると、自信がつきます」  そこで、俺はやっと気がついた。レストはただの侍従ではなく、諜報官だったらしい……なるほどな。元を正せば、俺が間諜の予算を潰してしまったから……侍従という形で、監視がついていたのだろう……。  なんてこった。俺の境遇、結構シリアス!  そんな事を考えていると、この日の仕事が終わった。席を立ち、扉から出ると――近衛騎士団の人が伝言を持ってきた。 「ルカス陛下が、夕食を共にとお望みです。お連れ致します」 「え」  こうして――俺は、第三塔の自室ではなく、後宮一階のダイニングへと向かう事になったのだった。

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