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第26話 「では、ぜひ、婚約破棄を!」①

 ダイニングへ行くと、既にルカス陛下が来ていた。現在も上質な事に変わりは無いが、日中よりは軽装で、白ワインの入ったグラスを持っていた。 「あ」  俺が座るように促された席には、青い酒が置いてあった。俺の大好きなカクテルだ。陛下はジュースと呼んだが、俺にとっては立派なお酒であり、週に一回しか嗜まない品だ。 「妃業務、ご苦労だったな、オルガ」 「特に苦労はありませんでした」  ペンの感触を思い出しながら、つい素直に返事をしてしまい、ただの労いの言葉だったと直ぐに思い至った。椅子に座り、ルカス陛下と角をはさんで斜めに俺は腰を下ろす。正面には魚がメインの豪勢な料理が並んでいた。フローララルリス王国の伝統的な王宮料理が並んでいる。全て最初にテーブルに並べておく事が多いと、知識としては知っていたが、俺は基本的に注文してから届く料理ばかり食べていたので、ナイフとフォークを持つ手が少し震えそうになった。しかし文官府の新人研修には、マナー研修もあったので、食べ方は分かる。

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