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第38話 ③
――翌朝になり、俺はレストに服を着つけてもらっていた。シャツはともかく、上着やリボンが一人では上手く着用出来なかったのである。
ノックの音がしたのは、丁度着替え終わった時の事である。視線を向けると、開いた扉の先には、ルカス陛下が立っていた。
「おはようございます」
俺が声をかけると、扉の所に立ったまま、暫しの間ルカス陛下が驚いたような顔をした。そのまま陛下は、無言で俺を見ている。
「陛下?」
「あ、いや――先日も思ったが艶……あ、いいや、あ、あの、だから、だな」
「はぁ?」
「馬子にも衣装だな!」
その言葉に、俺は片手を持ち上げて、服の袖を見た。デザインに関しては、これまでには着たことのないような服だから何とも判断がつかない。けれど、着心地はすごく良い。やはり素材が違うからだろう。
それから二人で食事をし、俺達は王宮の外へと向かう事になった。門の前で、大勢の補佐官や宰相閣下、ルカス陛下の侍従や、大臣達――また、少し会わなかっただけなのに懐かしく思えた文官府のもと上司をはじめとした高官に見送られながら、俺はルカス陛下と共に、馬車へと乗り込んだ。使用人達が乗る馬車もある。
こうして、視察へと旅立つ事になったのだった。
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