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第39話 『興味があるのならば、使ってみるか?』①

 馬車に乗り込み、俺は紅茶を二つ用意して、片方をルカス陛下に渡した。馬車の中はとても広い。隣に並んで座り、俺は窓から王都の風景を眺めた。実は、俺は王都から出た事が一度も無い。  今回向かうフェルスナ伯爵領は、王都に隣接している。内容は、最近完成した橋を見る事とその完成式典への出席、及び名産品を食べるなどしながら、領民と交流する事だと、俺は事前に資料で読んでいた。  馬車の中では、ルカス陛下は仕事をしていたので、俺は物珍しい風景を眺めていた。それなりの長旅で、俺達は朝出発したのだが、まる一日かけて、夜に到着した。 「ようこそおいでくださいました、我が領地へ」  出迎えてくれたフェルスナ伯爵は、豊かなヒゲを蓄えている。ふくよかな体を揺らし、柔和な笑みで、まずはルカス陛下に挨拶をした。その後、改めて俺を見ると、更に優しい笑顔になった。 「お初にお目にかかります、オルガ様」  俺は深々と頭を下げた。返答したかったが、黙っていろと何度も念押しされた事を思い出し、何と答えれば良いのか悩んでしまう。するとルカス陛下が、軽く俺の背に触れた。 「滞在中は、何かとよろしく頼む」

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