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第12話 繊細で柔らかで

 ほぼ真っ暗な室内。  もう鞍崎さんにも、何も見えていないだろう。  見えない安堵に、鞍崎さんの身体から力が抜けた。  手探りで鞍崎さんの身体を愛でる。  暗闇に目が慣れてくると、微かに輪郭が見えてくる。  オレの顔を見やった鞍崎さんは、掛けていたメガネを外し、顔を寄せた。  せがまれるキスに、沸き立つ想いのままに、その唇に喰らいつく。  自分の纏っている布が邪魔くさい。  鞍崎さんを包む布も鬱陶しい。  ……素肌に触れたい。触れ合いたい。  一度、身体を離し、シャツを脱ぎ捨てた。  部屋着として着ていたスウェットも下着ごと摺り下ろした。  ぽいぽいっと衣類をベッドの下へと放り、再び鞍崎さんを囲い込む。  もぞもぞと蠢く気配はあったが、Tシャツを脱いだだけの鞍崎さんの下半身は、ハーフパンツに守られたままだった。 「触りたかったら触っていいっすよ」  股間に招く鞍崎さんの手。  直に触れられたそこは、期待に涎を垂らし始めている。  鞍崎さんの指先は、遠慮がちに先端を擽り、溢れた液を塗り伸ばす。  ぅああ。ぞわぞわする。  遠慮がちに股間を掴みながら、そっと寄せた顔でオレの胸許に口づける。  オレの肌を、体温を確認するかのように、柔らかく何度も口づけてくる。  着いては離れを繰り返す鞍崎さんの触れ方に、妙なエロさを感じてしまう。  男らしい粗暴な感じとは真逆の繊細で柔らかな愛撫に腹の底が擽られる。  何度、触れられても慣れないオレは、堪らなく煽られる。  今でこそ主導権はオレだが、最初はマジで驚いた。  鞍崎さんが、オレを抱こうとしていたからだ。

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