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第13話 オレの方が先輩
初めてのセックス。
何故だかオレが、押し倒されていた。
「待って、待った!」
今と同じ柔らかな指使いで、オレの身体を這い回る鞍崎さんの手を掴み、待ったをかけた。
逆毛を立てるようで、でも、ふんわりと触れてくる鞍崎さんの手を掴み、声を上げた。
「なんだよっ」
キレ気味に放たれた鞍崎さんの声に、オレは戸惑いの言葉を返した。
「えっ? オレが抱かれる方? オレのコト、抱く気ですか?」
油断ならない鞍崎さんの手を拘束したままに、ばちばちと真っ暗な中で、瞳を瞬く。
「そりゃ……俺、先輩だし…?」
微かに差し込む外の明かりが、視線を背けながら頬を赤く染めた鞍崎さんの姿を照らしていた。
ユリさんの話を聞く限り、鞍崎さんは付き合ったコトもなければ、セックスしたコトもないはずだった。
不馴れなのに頑張ろうとしている鞍崎さんに、ぶわっと全身に痺れが走る。
「いやいやいや。先輩とか後輩とか関係なくないですか? てか、オレは可愛い先輩をもっとエロ可愛くしたいんで……」
というか。
そっち方面では確実にオレの方が先輩だと思うんで……。
なんて言ったら、怒られそうなので口にはしないけど。
言葉を切ったオレは、乗っかっている鞍崎さんを逆に押し倒す。
「オレに任せて下さい」
ちゅっと気配を探り落とした唇は、鞍崎さんの額に不時着した。
不服げではあったが、それからはオレに身体を預けてくれている。
やんわりとオレの股間を弄ぐり、胸許に可愛らしいキスを繰り返している鞍崎さんの頬を両手で包む。
その顔をそっと持ち上げ、キスを見舞った。
胸許から離される瞬間、名残惜しそうに微かな抵抗を見せていたが、重なる唇に甘く噛みついてくる。
はぁぁ、マジで可愛い……。
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