鞍崎さんの指先に反応したオレの息子が、どくんと呻く。 　今すぐにでも、その中に挿りたい。 　でも、急いては事を仕損じる。 　焦る気持ちを落ち着けるように、鞍崎さんの首筋に、鎖骨にキスを落とす。 　肩に触れた唇を滑らせて、胸の頂きまで啄みを繰り返す。 　しんと静まり返った室内に、チュッチュッと軽やかなリップ音が鳴り響く。 　ん、ふ、……と堪えるような息遣いの鞍崎さんの手が、迷うようにオレの髪に触れる。 　どこを触られても、そこから痺れるような熱が浸透してくる。 　何度シたって、どんなに触れたって、その感覚が薄れるコトはない。 「………っ」 　小さく、でも大胆に硬く張り詰める胸の突起を唇で摘まんだ。 　驚いたように声を詰まらせた鞍崎さんに、オレはもう一方の乳首も親指で押し潰す。 　指先に感じる反発感に、くるくると押し捏ねる。 「ふ……、ん…」 　何で？ と不思議がるような音が混じる鞍崎さんの声。 　もっと…と、せがむように硬くなるそれを甘噛みしながら、言葉を紡ぐ。 「気持ちぃ？」 　声の振動に鞍崎さんの身体が、ぴくりと跳ねる。 「ん………っ」 　自分の声に驚いたかのように、鞍崎さんは息を飲む。 　女じゃねぇんだから、そんなとこ感じない…、とか言っていたけど、今じゃすっかり性感帯だ。 「も、そこで…、喋んなっ」 　よくわからない感覚に、捩じ込まれるような快感に、鞍崎さんの手がオレの髪を握り、引き剥がそうとする。 　オレは、両手を鞍崎さんの身体に回し、ぎゅっと抱き締めた。 　目の前に差し出されたご馳走を食べようとした瞬間に下げられるというような、意地悪をされている気がして、仕返しをするように、そこに吸いついてやる。 「こ、ら……っ」 　鞍崎さんは、腰に回るオレの腕を離そうと足掻く。 　噛んで、舐めて、捏ねて、押し潰す。 　がっついてるように見えないように、腹の中で暴れまわる獣を押さえつけ、鞍崎さんを悦ばせる。 　心臓が、ばっくんばっくんと、けたたましい音で鳴りやがる。 　一晩だけの相手なら、別にどう思われたって構わなかった。 　ただ、お互いに気持ちよくスッキリできれば、それで良かった。 　でも、今は違う。 　もうシないなんて言われないように、俺はあらん限りの手技を駆使して、あらん限りの神経を使って、鞍崎さんを満足させなくちゃいけないという妙な使命感に燃えてしまう。 　時折、小さく、ぁ…とか、んっ…とか聞こえる。 　それが、暗闇に研ぎ澄まされたオレの耳を擽る。 　明るい室内よりも、エロさに拍車がかかっていた。