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第15話 甘くない甘ったれ

 乳首がオレの唾液で、びしょびしょになる頃には、鞍崎さんはぐったりしていた。  ハーフパンツを押し上げるそこを除いては。 「ここ、苦しくないですか?」  ハーフパンツの上から、形を象るように手を滑らせる。 「そう、思うなら……、脱がせよ」  甘くない言葉を、甘ったれた声で紡ぐ。  精一杯の強がりに、胸の底がぞわぞわする。  背に回した腕で、ぎゅっと抱き締め引き起こす。  鞍崎さんを担ぐように身体を預けさせ、ハーフパンツに手をかけた。  オレに抱きつく鞍崎さんは、八つ当たりするかのように、目の前の肩に歯を立てる。  噛みつかれたところで痛くはない。  じゃれつくような甘噛みだ。  もっと愛でろと言わんばかりに、無意識に甘えられている気分だ。  下着ごと引き抜いたハーフパンツを放り、触って欲しいと主張する硬く張り詰めるそこを、やんわりと握った。  膝立ち状態の鞍崎さんを自分の腿の上に座らせ、空いている手で尻を揉む。 「…………んっ…、ふ………」  この先を期待するように、鼻から漏れる吐息が、媚びるような甘さを纏う。  オレの肩に歯を立てながら、これが欲しいと強情(ねだ)るように扱かれる。  ベッドの脇に準備していたローションに手を伸ばす。  ローションの側には、箱ごと転がるコンドーム。  ローションもコンドームも、山のようにあった。  オレも鞍崎さんもお互いに準備したからだ。 「こういうものは男が用意するもんだろ」  山のようなコンドームを前に、妙な男気を見せる鞍崎さんに、オレはきょとんとした声を返す。 「いや。オレも男ですけど……?」  首を傾げるオレに、鞍崎さんは面白くなさそうに視線を外した。 「そうだけど……っ」  なにか言いにくそうに言葉を濁された。  そこを突っついても、ろくなものが出てきそうに無い。 「無くなるまで、ヤりますかっ!」  両手にコンドームの箱を持ち奮起するオレに、鞍崎さんは目を丸くした。 「腐るもんじゃねぇし、今すぐ使い切らなきゃいけないわけでもねぇだろっ」  血走る瞳で見詰めた箱は、鞍崎さんに、ぱしりと叩き落とされる。 「つ、次にまた使えばいいだろ」  一箱をレジ袋にしまいながら、お前がまたシたいと思えばな……と、聞き取れるギリギリの音で付け足された。 「そうですね。暫くはゴムの心配しなくていいんで、心置きなくできますね!」  にぃっと笑ったオレに、鞍崎さんの眉根に深い深い皺が刻まれた。  セックスの回数もそこそこ増え、あんなにあったコンドームも、箱半分まで減っている。  これが、なくなったところでオレはこの身体に飽きることなんてない。  どんどんとエロ可愛くなっていく鞍崎さんに、ますます夢中になっていく。

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