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第21話 薄いプラスチックフィルム
腰から右の尻に降り、ぷるんと振るわせ持ち上がったタオルは、今度は左の尻へと遷移する。
左の尻も振るわされ、尻たぶをむにゅりと掴まれ、横へと開かれた。
さっきまで、網野のペニスを咥え込んでいたそこに、焼けつくような視線を感じる。
網野に、いやらしい気持ちはないらしいのだが。
「いつまで見てんだよっ」
あまりにも恥ずかしくなり、思わす片手でそこを隠す。
「いや、だって。痛くなったら困るじゃないですか。傷つけたくないんで……」
隠そうと伸ばした手は、易々と取り除かれ、軽くチェックをされながら、タオルでやんわりと拭かれた。
タオルが去った尻たぶに、ちゅっとキスを落とされる。
毎度のコトながら、恥ずかしさに消えたくなる……。
枕に顔を埋め、羞恥に耐える俺。
網野は、放り投げていた俺の下着を手渡してくれる。
「結構、減ってきちゃいましたね」
いそいそと下着を履く俺の横で、数枚が連なるコンドームを手に言葉を紡いだ網野は、買い足しておかないとなぁ…と呟き、それを箱へと戻した。
初めての時。
男としての責任で、それを用意した、…訳じゃなかった。
封の切られた…、枚数の減ったコンドームなど出されたくなかっただけだ。
誰かと使ったのだと思い知らされるのが、嫌だった。
でも、網野が出してきたものも、薄いプラスチックフィルムにくるまれた買ったぱかりの新品で、心の隅で安堵した。
アホほどの枚数を一晩で使い切ろうと張り切る網野には、青褪 めたけど。
「そういえば来るの、随分遅かったな?」
下着を履いた俺は、身体の怠さに再び横になる。
「あぁ」
くすくすと笑った網野は、コンドームとローションを引き出しにしまい、俺を振り返る。
「来る前に、おさ……」
視線があった瞬間に、網野の声が不自然に止まる。
怪訝な瞳を向ける俺に、網野が再び口を開いた。
「…ぇ、と、…、あ、知り合いに会って、ちょっと喋ってて」
言葉を紡ぎながら、ベッドの端に腰かけた網野の顔が近づく。
何かを誤魔化すかのように、唇を寄せられた。
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