24 / 75

第24話 まとまらない思考は突飛な結論へ

 無言のままに、オレの家に帰り着く。  口を開けば育久のコトばかりを語る柊に、会話を避けていた。  重苦しい空気が、周囲を覆う。  わかっていても、それを払拭する気力が起きなかった。  下手に言葉を紡げば、事態がさらに悪化しそうで、無言を通していた。  肩に下げていたトートバックを床に放ち、エアコンのスイッチを入れた。  冷風が吹き出すと同時に、オレの手が引かれた。  ぐるりと身体を回され、柊と対面する。  瞳を伏せた柊の顔が近づき、唇が重なる。  唇を啄む柊の手が、オレのベルトを外しにかかる。 「何してんの?」  口づけを繰り返す柊の肩を掴み離す。 「ナニしようと思って」  解いたベルトにボタンを外し、ジッパーと共に柊が腰を落とす。 「しゃぶってやるって言ったろ」  声を放った柊は、(くつろ)げられたそこに下着の上から唇を押し当てた。  興奮しない訳がない。  好きな人が、オレの股間に顔を埋める。  堪らないというように、そこに口づける。  それにしか…、オレのモノにしか興味ないのかよ。  オレのそこが気に入っているだけなんじゃねぇの?  オレたちはその為だけに、…都合よく性欲を発散させる為に、…セックスする為だけに一緒にいんの?  オレのペニスに唇を押し当てながら、下着のゴムに指をかける。  じりじりと下げられる下着に、柊の唇が直に触れる。  しっとりとした唇が、擽るようにそこを撫で擦る。  下着から顔を出したオレのペニスは、じわじわと硬く勃ち上がり始めた。  あぁ、好きって言われたコト、ねぇわ。  オレが勝手に惚れて、オレが勝手に付き合ってると思って……勘違いしてたってコトか……?  苛立ちに冷静さを失い、煽りに暴走し始めた思考は、予想外な方向へと飛躍した。  (かしず)く柊の姿に、金を払って買ったヘルスみたい感じた。  そこに、感情はなくて。  恋しいと思う気持ちが、欠落していて。  割り切った欲求の捌け口があるだけで。  虚しさだけが、心を埋めていった。

ともだちにシェアしよう!