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第40話 負い目に飲み込む <Side 真実

 バスルームから裸体でリビングに戻った柊は、俺の手を引き寝室へと足を進めた。  “描くか?”と問われた時、俺の頭には、あのムードも何もない、最初のセックスが浮かんだ。  他の男に持っていかれるのが嫌で、誰でもいいのなら、オレでもかまわないだろうと柊を誘った。  “知らない誰か”から“知り合いの真実(まこと)”になり、セックスフレンドから恋人へと昇格した。  嫉妬に駆られ、こじつけるように育久との関係を疑い、柊を傷つけた。  オレが悪い、オレに非がある、そう思ったから、謝り続けた。  もういいから黙れと言われてしまえば、それ以上の謝罪も言い訳も、悪印象にしかならない。  オレに、弁解の余地はない。  本当に怒っていないのかと聞いたオレの唇に、柊が噛みつく。  重なる唇に、絡まる舌に、嫌われてはいないのだと、安堵する。  でも。  いつものように、いつもの場所につけようとしたキスマークは、…避けられた。  薄着になるから、ボタンと外せなくなるから。  尤もだ…、尤もだけど……、解せねぇよ。  …解せなくても、消化しきれなくても、飲み込むしかなくて。  負い目があるオレは、強くは出られない。  吹っ切るしか、選択肢は残っていない。  いつまでも悄気ていたって、仕方ない。  オレが、この後ろめたいような申し訳なさを、…罪悪感を、引き摺れば引き摺るほどに、柊を傷つけるのかもしれない。  何もなかったかのように振る舞うべきなんだよな。  口に挟んでコンドームの包装を破る姿に、雄の色香を感じた。  まるでオレが襲われている…、生娘にでもなった気分だ。  飲み込む途中で身体を止めた柊に、オレが上になるコトを進言する。  オレの言葉に奮起した柊が、半ば無理矢理に腰を落とした。  めりめりと無理矢理に押し広げるように奥へと(うず)まるオレのペニス。  そこだけじゃなくて。  柊のすべてを感じたくて。  オレは、柊の身体に手を滑らせる。  強引さを伴いながらも、根本まで飲み込まれるペニスに、愛しさが溢れる。  微かに震える柊の手を掴み、その指先に口づける。  オレの上で揺れる柊の身体。  自由を奪うように、オレが身体を起こすコトを許さない。  主導権を握った柊に、いいように翻弄された。  場の空気は、完全に柊に支配されていた。  でも、柊に圧されながらのセックスも悪くなかった。

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