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第45話 エロおやじかよ

 オレは、面白くなさげに、ビールを喉へと流し込む。 「で? なんで怒らせたの?」  ビールをテーブルへと戻した育久は、じとっと責めるような瞳を向けた。 「お前とヤったんじゃねぇのかって、…言った」  自白を迫られたオレは、素直に吐露する。 「は?」  ぼそりと放ったオレの言葉には、育久のきょとん顔が返ってきた。 「あんまりにもフェラ上手ぇから、お前に仕込まれたんじゃねぇのかって思ったんだよ」  考えただけでも、胸糞悪い。  実際に関係がないコトは、柊に怒鳴られた時にわかっていても、…想像するだけで、腹立たしい。  チッと不快感のままに、舌を打つ。 「お前なら、やりかねねぇじゃん。自分好みに調教とかしそうだし……」  冷めた瞳で見やるオレに、育久は声を立てて笑った。 「調教って…、どう見えてんだよ」  軽くツッコミを入れながらも、育久の言葉は続く。 「まず、小佐田さんとはヤってない。同じだってわかったのも、お前に声掛けたときだし。それにオレは、仕込むより奉仕派。どろっどろに溶けさせて、甘やかして、これでもかってくらいてろんてろんに……」  育久の端正な顔立ちが崩れ、うへへっと気持ち悪い笑みを浮かべた。  エロおやじのような顔で、ニヤつきながら語り始める育久に、即刻ストップをかける。 「お前の(へき)なんて聞いてねぇよ」  柊のコトで落ち込んでいるオレの前で、惚気てんじゃねぇよ。  (かさ)ましされた苛立ちに目の前のビールを呷る。 「お前とヤってねぇのは、柊に怒鳴られてわかってんだよ」  はぁっと重い息を吐いたオレは、言葉を繋ぐ。 「そん時に、どんだけ節操なしだと思ってんだって。会社のヤツに手ぇ出すほど飢えてねぇって言われたんだよ」  そんなつもりで吐いた言葉じゃない。  育久との親密な雰囲気に変に勘繰り、勝手に誤解して、疑うような…柊を(おとし)めるようなコトを言ってしまったんだ。

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