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第50話 首を突っ込むな

 網野の鞍崎に対する態度を見ていれば、簡単に推測できた。  あれほど鞍崎の前で、尻をブンブンに振り回されれば、誰もが気づく。  セクシャリティの壁があるから、周囲の認識が仲のいい先輩と後輩という囲いに収まっているに過ぎないだけだ。 「鞍崎もお前のコト、好きだよな? できてんだろ」  2人の関係を見透かす俺の瞳に、網野は恥ずかしそうに顔を片手で覆った。  髪の隙間から見えている耳が、赤く染まっている。  バレているコトに気づかずに隠せていると思っていた自分の間抜けさに羞恥を覚えたようだ。 「鞍崎がクローゼットだから、隠してんだろ……?」  鞍崎はどう見ても、秘密主義だ。  セクシャリティを自分から公にするタイプじゃない。  ミーティングルームに入る直前に見えた鞍崎の顔が、瞳の裏に焼きついていた。  傷ついたような、寂しそうな色を浮かべた表情に、なんの心配も要らないと伝えてやりたいとも思ったが、鞍崎は知られたくないのかもしれないと考えると、俺が口を挟むべきじゃない。 「俺はお前らには関わらない。首を突っ込むつもりねぇよ」  深呼吸で恥ずかしさを払拭した網野の瞳が俺に向く。  そんな網野に、俺は言葉を足す。 「俺たちのコトも然りだ。放っておけよ。お前に関係ねぇだろ」  切り捨てるように放った俺の言葉に、網野の顔が、再び歪んだ。 「関係なくないです。於久は俺の友人だし、小佐田さんは俺の先輩じゃないですか」  オレは放っておく気はありませんと断言する網野に、俺は溜め息を吐く。 「オレとヤったって誤解して、オレに仕込まれたのかなんて…他の男とも平気で寝てるみたいな言い方、サイテー以外の何でもないですけど……」  苦虫を噛み潰したように顔を歪めながらも、網野は言葉を繋いだ。 「オレと仲良さげに見えたのに嫉妬して、でもそんなコトでヤキモチ妬く小さい男だって思われたくなくて、変な誤解しただけなんですよ」  弁解する網野に、心の隅が急激に冷え込んだ。 「あいつは、嫉妬なんてしねぇよ。俺が誰とヤろうと関係ねぇんだよ」

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